維持型メチル基転移酵素の発現抑制による核移植胚DNAメチル化状態の低減化

タイトル 維持型メチル基転移酵素の発現抑制による核移植胚DNAメチル化状態の低減化
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 高橋昌志
山中賢一
発行年度 2010
要約 クローンウシ胚のメチル基転移酵素1型の発現をRNA干渉法により特異的に抑制することで、胚盤胞発生率を向上させると共に、胚盤胞DNAのsatellite I領域のメチル化レベルを有意に低下させ、受精胚のメチル化レベルに近づけることができる。
キーワード 核移植胚、メチル基転移酵素1型、RNA干渉、satellite I領域、メチル化
背景・ねらい 体細胞核移植胚では、分化した体細胞の高いメチル化状態が初期化されず、正常な遺伝子発現調節が成されていないことがその原因の一つとされている。DNA複製時に新生DNA鎖にメチル基を付加させ、細胞の分化状態を維持させる酵素としてメチル基転移酵素(DNMT)1型が知られており、その活性により核移植胚での高いメチル化状態が維持されることが推察される。そこで、DNMT1の発現をRNA干渉法により特異的に抑制し、メチル基の付加を低減化することで、核移植胚の発生およびメチル化状態に及ぼす効果を解析することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. DNMT1のmRNAに対して作成した短鎖二本鎖RNA(siRNA)を核移植1細胞期胚に注入し、遺伝子発現を特異的に抑制することで分割率ならびに胚盤胞への発生率の有意な増加が見られる(表)。
  2. 核移植1細胞期胚に対して行ったRNA干渉によってDNMT1 mRNAの発現はsiRNAの注入後、少なくとも72時間目まで抑制される(図1)。
  3. Bisulfite変換-AciI制限酵素消化によるDNAのメチル化解析手法を使って解析した結果、核移植胚の発生各時期におけるSatellite I領域のメチル化状態は、DNMT1のsiRNAを注入後、24時間までに非注入対照核移植胚と比較して有意に低下し、その後安定的に低い状態が維持され、体外受精胚のメチル化状態に近くなる(図2)。
  4. 胚盤胞のSatellite I領域内に12カ所あるメチル化を受けるCG配列について、Bisulfite変換後塩基配列決定によって解析した結果、対照である非注入核移植胚でみられる高いメチル化状態がDNMT1の特異的発現抑制処理によって有意に低下し、体外受精胚のメチル化状態に近づく(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 維持メチル化に関与するメチル基転移酵素であるDNMT1のRNA干渉によって、胚発生に影響を及ぼすことなく受動的脱メチル化制御が可能となり、今後、クローン胚のメチル化制御機構解析ならびにクローン個体の高作出技術開発に資する知見となる。
  2. 体細胞クローン胚へのメチル化低減化技術については、複数の遺伝子発現への影響解析および、移植による正常産子の確認が必要である。
図表1 234527-1.png
図表2 234527-2.png
図表3 234527-3.png
図表4 234527-4.png
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