タイトル |
イノシンの施用は水耕栽培において作物の根の発育を促進する |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
2009~2010 |
研究担当者 |
信濃卓郎
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発行年度 |
2010 |
要約 |
イネ、トマト、タマネギ、ヒマワリ、ダイズを供試して水耕栽培を行い、イノシンを添加すると、イネ、トマト、ヒマワリ、ダイズで根、特に根毛の発育促進効果が認められる。この効果はイノシンの窒素成分によらないことが無菌水耕栽培したイネで確認される。
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キーワード |
イノシン、根発達、根毛
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背景・ねらい |
自然界には様々な生長調整物質が存在するが、根の生育、特に根毛の発達に着目した研究は少ない。核酸の一種であるイノシンは、アミノ酸の工業的製造過程において副産物として大量に生成する化合物であり、その有効利用が求められている。本試験ではイノシンが根の発達に及ぼす影響を5種の作物について調査を行い、その効果を確認する。また、微生物によって代謝された化合物が影響を及ぼしている可能性についての検討も行い、イノシンの効果が直接的なものか間接的なものなのかを明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- イノシンの添加により顕著な根毛の発達の増加が認められ、この効果は特にイネ、トマト、ヒマワリで顕著である(図1)。作物体の窒素含有率に差が認められないイノシン添加量2mg/Lにおいても根毛の促進効果が認められることから、イノシンの根発育促進効果は、イノシンそのものの効果であると考えられる。
- 無菌条件下の水耕栽培では、イネにおいてイノシンの添加によって有意に根長および側根数の増加が認められる(図2)。
- 無菌条件でも根の発達に有意な促進効果が認められることから(図2)、イノシン施与の根発達促進作用はイノシンの分解産物による物ではなく、イノシンそのものが根に作用して引き起こされている現象であると考えられる。
- イノシンによる根発達促進効果は特に側根、根毛において顕著であり、植物ホルモン様の作用であると考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果は水耕栽培で得られた成果であり、土壌に施用する場合には別途確認する必要がある。
- 作物の種類、品種による応答の違いについての検討の必要がある。
- 無菌条件下では無い条件ではイノシンの分解産物の影響がある可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
肥料
水耕栽培
大豆
たまねぎ
トマト
ひまわり
品種
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