タイトル |
氷点下貯蔵したニンニクりん茎にみられる障害「くぼみ症」の発生要因 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
2005~2009 |
研究担当者 |
山崎博子
庭田英子
矢野孝喜
長菅香織
稲本勝彦
山崎 篤
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発行年度 |
2010 |
要約 |
くぼみ症の発生にはニンニクりん茎の乾燥および貯蔵条件が影響する。高温での乾燥は発生を促進し、平均温度31℃以上で乾燥したりん茎を-2℃で貯蔵すると、高い確率でくぼみ症が発生する。また、低い貯蔵温度条件もくぼみ症の発生を促進する。
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キーワード |
ニンニク、くぼみ症、乾燥温度、乾燥時飽差、テンパリング乾燥、貯蔵温度
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背景・ねらい |
国産ニンニクの約8割を生産する青森県では、収穫したりん茎を乾燥後、氷点下条件(約-2℃)で貯蔵し、これを計画的に周年出荷している。国産ニンニクはその高品質性から輸入品との差別化に成功してきたが、近年、りん片の表面が陥没する「くぼみ症」と呼ばれる障害がみられるようになり、問題となっている。そこで、高品質な国産ニンニクの周年安定供給を実現する収穫後処理技術を確立するため、くぼみ症の発生要因を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- くぼみ症は乾燥終了時のりん茎にはみられず、一定期間以上の貯蔵後に発生する(表1、図1)。
- くぼみ症の発生には、りん茎の乾燥および貯蔵条件が影響する(図1)。生産現場の乾燥条件に近い33℃一定での乾燥は、テンパリング乾燥(昼間に約34℃加温・通風、夜間に無加温・通風条件での乾燥)に比べて、貯蔵後にくぼみ症が発生しやすい。また、-2℃貯蔵は0℃貯蔵に比べて、くぼみ症が発生しやすい。
- 生産現場での実用規模の乾燥において、平均温度が31℃以上、平均飽差が2.2kPa以上の場合、乾燥したりん茎を-2℃で貯蔵すると、高い確率でくぼみ症が発生する(図2)。
- テンパリング乾燥を行うと、平均温度および平均飽差が31℃、2.2kPaを上回ることはほとんどない(図2)。従って、同乾燥後、-2℃で貯蔵した場合には、くぼみ症はほとんど発生しないが、-3℃で貯蔵した場合には、発生がみられる(表1、図2)。
- 乾燥仕上がり(盤茎の水分含量が20%以下になるまで乾燥)後、さらに乾燥を延長すると、くぼみ症の発生が助長される(表2)。助長の程度は乾燥条件によって異なる。テンパリング乾燥では、32℃以上の連続加温乾燥に比べて乾燥に要する期間は長いが、助長の程度は小さい(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- テンパリング乾燥は、連続加温乾燥に比べてりん茎の乾燥に要する期間は長いが、夜間に加温しないため乾燥コストは安いと予想され、くぼみ症を回避する有望な乾燥法と考えられる。
- ニンニク「福地ホワイト」を供試して得られた成果である。上記に示した貯蔵温度は平均値であり、実際の温度は平均値±1℃以内の範囲で変動した。
- 飽差とは、大気の水分状態を示す指標のひとつであり、対象とする空気の飽和蒸気圧から実際の蒸気圧を引いた値である。水蒸気飽和圧差とも呼ばれる。りん茎乾燥中の飽差は温度と連動して変化する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
乾燥
コスト
出荷調整
にんにく
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