タイトル |
夏作ホウレンソウ前作物としての春作エダマメの栽培時期の早期限界 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
吉田祐子
浜本 浩
池田順一
熊倉裕史
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発行年度 |
2010 |
要約 |
春作エダマメの2粒以上莢重100 kg/a以上を得るためには無加温ハウスへ定植後から開花最盛期までの栄養生長量の確保が重要で、ハウス内平均気温19℃以上が必要と計算される。近畿地方北部では、4月初旬以降の播種で目標収量が期待できる。
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キーワード |
春作エダマメ、夏作ホウレンソウ、前作、収量、栄養生長量
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背景・ねらい |
ホウレンソウの周年産地では、連作による土壌病害がホウレンソウが高値となる夏作で多発することが大きな問題である。その解決策として、春作エダマメを導入した新たな輪作体系を開発する。エダマメの収穫後に夏作ホウレンソウを播種するので、エダマメの栽培時期を可能な限り早めることが望ましいが、無加温ハウス栽培では限度がある。そこで、春作エダマメの栽培時期と生育および収量との関係を検討し、前作物としての栽培時期の早期限界を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 春作エダマメの主茎長、節数および茎葉重と2粒以上莢重収量(良品収量)との間には、正の相関関係が認められるため、植物体の栄養生長量が収量の主な決定要因となっている(表1)。
- 定植日から開花最盛期までのハウス内平均気温と栄養生長量および収量との間には、高い正の相関がある(表2)。春作エダマメの栄養生長は開花最盛期前後でほぼ停止するためである。
- 2粒以上莢重収量100kg/a以上を得るためには、定植日から開花最盛期までのハウス内平均気温19℃以上が必要であると計算される(図1)。
- 近畿地方北部(綾部市)と類似した日長および気温条件の場所では、4月初旬以降播種、4月中旬以降の定植により、目標収量(2粒以上莢重収量100kg/a)が期待できる。4月中旬に定植することにより、6月中下旬にはエダマメが収穫可能となる(表3)。その後に夏作ホウレンソウが2作栽培可能であることから、作期のうえで夏作ホウレンソウの前作として導入可能である。
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成果の活用面・留意点 |
- 早生黒大豆系エダマメ「たんくろう」を供試品種とした。早生黒大豆系エダマメは収穫期が9月から10月の晩生の黒大豆品種とは異なり、植物体および莢の大きさや形態は種子が緑のエダマメ品種に近い。良食味であることから、差別化商品としての有利販売が期待できる。
- 目標収量は、京都府および東京都のエダマメ栽培指針等を参考に設定した。
- 移植栽培と直播栽培の収量の比較試験を行った結果、4月初旬以降播種の栽培では収量に明確な差はみられないことから、直播栽培も可能である。直播栽培では、移植栽培で必要な育苗施設や育苗資材を必要としないことから、栽培現場への導入がより容易となる。
- 春作エダマメの導入による盛夏期のホウレンソウの病害軽減効果は、病害が多発した圃場では不十分であるが、病害発生程度が低い圃場では有効である。よって、春作エダマメは、新設のホウレンソウ用ハウスなど、汚染程度が低い段階から連作障害予防のために導入することが望ましい。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
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