西オーストラリアからの輸入小麦に混入していた除草剤抵抗性雑草種子

タイトル 西オーストラリアからの輸入小麦に混入していた除草剤抵抗性雑草種子
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間
研究担当者 小沼明弘
下野嘉子
発行年度 2010
要約 西オーストラリア産の輸入小麦に除草剤抵抗性の雑草(ボウムギ)種子が混入している事を確認しました。混入頻度は原産地での発生頻度を反映した割合でした。輸入穀物の混入雑草種子から除草剤抵抗性が確認されたのは我が国では初めてです。
背景・ねらい 輸入穀物の中には様々な雑草種子が混入しています。輸出元である海外の穀倉地帯では除草剤抵抗性雑草が多数発生しており、輸入穀物の中にも除草剤抵抗性を持つ種子が含まれていることが予想されます。これらが野外に逸出して定着した場合、我が国でも雑草管理上大きな問題となる可能性があります。そこで、ボウムギ(ドクムギ属)の除草剤抵抗性が問題となっている西オーストラリアから輸入された小麦を対象として、混入していたボウムギ種子中に除草剤抵抗性をもつ個体が含まれているのか調査しました。
成果の内容・特徴 2006年および2007年に輸入された西オーストラリア産小麦に混入していた雑草種子を調べたところ、ボウムギ種子は小麦20kgあたり、両年とも約4500個見つかりました。その混入ボウムギ種子に対し、原産地の小麦畑で使用頻度の高い除草剤4種類(ジクロホップメチル、セトキシジム、クロロスルフロンおよびグリホサート)を用いて除草剤抵抗性の有無を確かめる試験を行いました(図1)。その結果、4種類中、グリホサート以外の3種類について、抵抗性個体の混入が確認されました(表1)。抵抗性個体の混入割合は、原産地の小麦畑での発生頻度を反映したものとなっていました。今回試験した除草剤のうち、抵抗性個体が見つかった3種類の除草剤は我が国の小麦畑では使用されていないか、使用頻度が低いため、ボウムギの除草剤抵抗性が国内ですぐに問題となる可能性は低いと考えられます。また我が国で使用されているグリホサートに対するドクムギ属の国内における抵抗性の発達はこれまで報告されていません。
今回の調査は、西オーストラリア産の小麦のみを対象としたものでしたが、我が国は年間約2000万トンもの穀物を様々な国から輸入しており、その中には、我が国で多量に使用されている除草剤に対する抵抗性をもつ雑草種子が混入している可能性も否定できません。もし、それらが侵入した場合には、農耕地・非農耕地を問わず問題化する可能性があるため、侵入の監視と適用除草剤の選択には注意が必要です。
成果の活用面・留意点 本研究は文部科学省科学技術振興調整費・重要問題解決型プロジェクト「外来植物のリスク評価と蔓延防止策」による成果です。
図表1 234856-1.jpg
図表2 234856-2.jpg
カテゴリ 病害虫 小麦 雑草 除草剤 抵抗性 輸出

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