タイトル |
現場で、即座に計測できる4電極(4端子法)土壌電気伝導度計 |
担当機関 |
愛知県農業総合試験場 |
研究期間 |
1999~2003 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
開発した4電極土壌電気伝導度計は、ペンシル型の絶縁棒の先端に4個のリング状電極を並列に埋め込んだセンサを使用し、土壌に直接差し込むだけで現場土壌のECを正確、簡単、即座に計測でき、安価なことから営農場面で広く利用できる。
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背景・ねらい |
土壌電気伝導度(EC)を、現場で、深度別に、多数地点を即座に計測でき、かつ非破壊で連続的に計測できるならば、分布むらの多い現場土壌に対しても的確な土壌診断に基ずく合理的な施肥管理が行える。しかし、現在市販されるセラミックECセンサは、応答性が悪く、セラミック中での塩類集積によってセル常数が非常に変化し、2カ月に一度は埋設土中から掘り出して検定を行って使用しているのが現状である。 セル常数の変化しない、安定的に計測できる4電極土壌EC計は、1976年にRhoades博士らが考案した技術で、分極及び汚れに強い特長を持つが、構造、増幅器が複雑になり、小型化、低価格化に難があった。そこで、営農場面への普及のため、民間との共同研究によって安価に(予定価格15万円)開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 4電極EC計センサは、絶縁体の棒の先端に4個のリング状の電極をはめ込み、分極を避けるため外側の電極に1000Hzの交流電流を流すと共に、内側の電極で抵抗Rを計測してその逆数をEC値として表示し、±1%の測定精度を持つ(図1:試作品)。
- センサの測定影響範囲は約12cmである。EC測定の応答性は瞬時であるが、サーミスタ温度計の平衡時間に約2分半を要すことから、1回の測定は3分程度である。
- 飽和土壌での測定例として水稲の塩害を見ると、EC(4電極)値が3~5dS/mで1~2割の被害があり、5dS/m以上では急激に被害が増大し、11dS/m以上では壊滅状態となる(図3)。従来の1:2.5及び1:5の土壌浸出液のECとは次の関係がある(図2)。EC(1:2.5)=0.171・EC(4電極)、EC(1:5)=0.096・EC(4電極)
- 不飽和土壌でのEC(4電極)は、一般にEC(抽出溶液)、体積含水率V(cm3/cm3)の関 数として示される。EC(4電極)=a・EC(抽出溶液)・V2+b・V
a、bは、粘土含量や礫質含量に依存する測定土壌の固有の係数である(図4)。体積含水率VはTDR水分計によって現場で瞬時に計測できるので、aとbを土壌組成ごとに求めておけば、従来計測困難であったEC値(抽出溶液)を即座に求められる。
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成果の活用面・留意点 |
4電極EC計は、TDR水分計と併用して茶園や養液土耕栽培の施肥管理に利用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
水稲
施肥
茶
土壌診断
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