タイトル | 24.坑う蝕性環状オリゴ糖サイクロデキストラン合成酵素の改良 |
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担当機関 | 食品総合研究所 |
研究期間 | 1997~1999 |
研究担当者 |
舟根和美 北村義明 小林幹彦 |
発行年度 | 1999 |
要約 | 強い抗う蝕作用を持つ環状オリゴ糖サイクロデキストラン(CI)を安価で大量生産するためには、CI合成酵素(CITase)の改良が必要である。得られた変異酵素は活性が4~5倍上昇している。また、カルシウム添加により耐熱性が10℃高まる。 |
背景・ねらい | サイクロデキストラン(CI)は、砂糖の存在下でも有効に虫歯を予防するという優れた抗う蝕作用が注目されている。本研究は、CIを安価で大量に生産するためのCI合成酵素の改変、並びに、さらに抗う蝕性の高いCIの誘導体の作成を目的とした。同時にCIの抗う蝕活性の動物試験及びCI生産のための最適な酵素反応条件などについても試験を行った。 |
成果の内容・特徴 | 1.遺伝子操作法を用いてCITase遺伝子に変異を導入し、大腸菌中で変異酵素を発現し、まずブルーデキストランプレートでCITase高生産遺伝子を持つ大腸菌をスクリーニングした(図1)。 2.活性が上昇した変異酵素が7種類得られ、最も活性が強いもので野生型の4~5倍の上昇があった(図2)。これらの変異酵素を用いることによりCI生産反応のため要する時間を大幅に短縮することが可能になった(図3)。一方、カルシウムを添加すると耐熱性が10℃高まることを見いだした(図4)。さらに、CI生産に伴って生成する副産物の分解を行う酵素のクローニングと発現にも成功した。 3.CIの原料であるデキストランにα-1,4分岐を酵素的に導入することに成功した。これを原料としてCI生産を行うと分岐サイクロデキストランの生産が可能となる。 4.CIをラットに与えると、従来より抗う蝕作用を認められていたサンウーロン、サンフェノン等のポリフェノールよりも、う蝕の発生率が低下した(表)。 |
成果の活用面・留意点 | CITaseの比活性、耐熱性を高め、CIの工業生産を実現に導くために貢献できたが、さらに効率化を図るには、最大転換効率を上昇させること、耐熱性をさらに10℃高めることが望ましい。 |
図表1 | ![]() |
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