18.フェオホルビドa生成量に基づく緑茶の健全性評価

タイトル 18.フェオホルビドa生成量に基づく緑茶の健全性評価
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 1997~2000
研究担当者 木幡勝則
氏原ともみ
堀江秀樹
発行年度 2000
要約 市販緑茶中の既存フェオホルビド(PB a)含有量及び残存クロロフィラーゼ活性に基づく総PB a生成量を測定し、両者に基づく緑茶の健全性を評価した結果、市販緑茶は通常の食用茶としての用途ではほとんど問題がない。

背景・ねらい フェオホルビド(PBa)はクロロフィルの分解物の一つで、人に対して光過敏毒性を示すことが知られており、以前、精製の粗悪なクロレラ中に含まれていたPBaが原因で発症して問題となった。PBaは脂溶性で浸出液には溶出してこないことから、緑茶を飲料として用いる場合には問題ないが、近年、食べる茶あるいは食材としての茶の需要が増大しており、PBa量に基づく食用茶としての緑茶の健全性を評価することが必要とされていた。そこで、市販緑茶中の既存PBa(もともと茶葉中に含まれているPBa)含有量及び残存クロロフィラーゼ(CHLase)活性に基づく総PBa生成量(CHLaseの作用により新たに生成するPBa量と既存PBa含有量との和)を測定し、緑茶の健全性について検討する。
成果の内容・特徴 1.市販緑茶中の既存PBa含有量は10mg/100g以下で、クロレラでの基準値(100mg/100g)より大幅に少ない(表1)。
2.市販緑茶中の総PBa生成量は既存PBa含有量と比較して急増しており、クロロフィラーゼ活性の残存が明らかである。特に、蒸しの浅い玉露及び抹茶では総PBa生成量が多い(表1)。また、玉露及び抹茶と煎茶の一部にはクロレラでの基準値(160mg/100g)を越えるものがある。
3.総PBa生成量は茶葉をpH8.0の緩衝液中、37℃でインキュベートして測定するが、緑茶(玉露)を蒸留水中に放置することでも生成量は急増する。生成量は60℃で最も多く(図1)、また、時間が長くなる程多い(図2)。
4.市販緑茶中の既存PBa含有量はわずかであり、食用とした場合にも何ら問題ない。総PBa生成量は玉露及び抹茶と煎茶の一部でクロレラでの基準値を越えるものがあるが通常の食用茶としての用途ではクロロフィラーゼが作用できる環境にはなく、従って、ほとんど問題ない。
成果の活用面・留意点 1.食用茶としての緑茶の健全性評価指針作成に資する。
2.茶葉、特に蒸しの浅い茶葉を温水中に長時間放置等、特殊な用途によっては注意を要する。
図表1 235068-1.JPG
カテゴリ 抹茶

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