27.糖の利用による菊切り花の放射線障害の低減化

タイトル 27.糖の利用による菊切り花の放射線障害の低減化
担当機関 食品総合研究所
研究期間 1996~2000
研究担当者 等々力節子
杉山純一
林 徹(現農林水産技術会議事務局)
発行年度 2000
要約 活け水への糖の添加により、菊切り花に放射線照射した際に起こる、しおれ、褐変などの放射線障害を防止することが可能である。

背景・ねらい 臭化メチルくん蒸の代替として、生鮮農産物の検疫処理に放射線照射が有効であるが、その実用化のためには、放射線感受性の高い生鮮農産物の放射線障害を防止する必要がある。そこで輸入切り花の放射線感受性を明らかにするとともに、糖処理による放射線障害の防止技術を開発と、糖処理が放射線障害を防止するメカニズムを解明を目的とする。
成果の内容・特徴 1.各種生鮮農産物の放射線感受性について検討し、一般に、アブラナ科植物は放射線抵抗性であり、キク科植物は放射線感受性である。
2.市販の切り花日持ち剤及び、それに含まれる糖を、ガンマ線照射後に供給し続けることで、ガンマ線照射による菊の花のしおれ、褐変などの放射線障害を防止することができる(図1)。
3.ガンマ線照射により、花弁の生体膜の流動性の低下(膜機能の低下)が促進されるが、糖の供給はこの現象を抑制する(文献6)。
4.放射線照射によりDNAの生合成が盛んになる。また、照射した菊に糖を供給するとDNA合成が更に盛んになる(文献5)。
5.放射照射した菊では呼吸活性が増加する。また、糖処理により更に呼吸活性が増加する(文献5)。
6.放射線障害を起こした菊の花は、DNA損傷の修復など障害快復に必要な生合成反応が盛んになるが、糖は呼吸の基質として利用され必要なエネルギーを供給している(文献5)。
成果の活用面・留意点 現在の植物防疫法上では、放射線照射を検疫処理と認めていないが、放射線障害を低減する技術の存在は、臭化メチル薫蒸の代替技術として、殺虫(検疫)処理に放射線照射を導入できる、技術的な可能性を切り開いた。
図表1 235070-1.JPG
カテゴリ あぶらな きく 抵抗性

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