| タイトル | スギで実現、火事に強い耐火集成材の開発 -14階建て純木造を可能にする2時間耐火構造開発に向けて- |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
原田 寿郎 上川 大輔 服部 順昭 安藤 恵介 宮本 圭一 抱 憲誓 西村 光太 田上 淳 久保田 淳 和田 環 田中 裕樹 |
| 発行年度 | 2010 |
| 要約 | スギ材だけで構成された集成材では初となる1時間耐火構造の柱・梁を開発するとともに、この技術が2時間耐火構造の開発にも適用できることを明らかにしました。 |
| 背景・ねらい | 4階建て以上の建物や防火地域の建物を木造で建設するには、木製の柱や梁を火事に強い耐火構造の材料にする必要があります。木材を石こうボードなどで被覆すれば、耐火構造にできますが、それでは木材が表面に現れず木造には見えません。H型鋼や角型鋼の周りをカラマツやベイマツの集成材で被覆した柱や梁が1時間耐火構造に認定されていますが、鋼材で荷重を負担しているので木質構造とは言えません。その上、スギは耐火加熱試験終了後に燃え止まらないという欠点があり、使用できません。「スギを用いた、どこから見ても木造の耐火構造建築物を造りたい」という夢の実現に向け、集成材の一部を信頼性高く難燃化することで、集成材の柱や梁を耐火構造に変身させる技術を開発しました。 |
| 成果の内容・特徴 | 開発のコンセプト木質系の材料で耐火構造の認定を受けるためには、実大寸法の試験体を用いた耐火加熱試験(写真1)で、加熱終了後も材料が壊れないことに加え、木材部分の火炎が速やかに消え、自然に燃え止まることが求められます。無処理の木材や集成材は、断面を大きくすれば、1時間や2時間火炎にさらされても壊れない材料にすることはできますが、加熱終了後に燃え止まらないので、断面を大きくしただけでは、耐火構造にはできません。 そこで、図1に示すように、荷重を支える部分の周りに、難燃薬剤を注入して防火性能を高めた木材を配置することで、火事にあってもその部分で木材が燃え止まる集成材の柱や梁を開発することにしました。一見簡単そうに見えますが、これまで、薬剤の種類や注入方法、燃え止まり層の厚さなど具体的な仕様は提案されておらず、成功例も報告されていませんでした。 本研究では、難燃薬剤として、窒素・リン酸系の薬剤を注入しました。重要な技術的ポイントは、防火性能試験で木材が着火しない程度の薬剤量をムラなく木材に注入することです。このため、薬剤注入に当たっては、木材にあらかじめCO2レーザを用いた穴あけを行っています。 1時間耐火構造の開発燃え止まり層の厚さが60㎜の断面寸法350×350㎜の集成材の柱を作製して1時間の耐火加熱試験を行ったところ、集成材は壊れず、加熱終了後に燃え止まり(図2、写真2)、1時間耐火構造の性能を示しました。さらに、鹿島建設が350×700mmの断面寸法の集成材の柱と梁で性能評価を受け、スギ材のみで構成された集成材としては初となる1時間耐火構造の国土交通大臣認定を取得しています。これにより、4階建ての木造建築物の建設が可能となりました。2時間耐火構造達成の可能性燃え止まり層の厚さが120㎜、断面寸法470×470㎜の試験体を用いれば、集成材の柱に2時間耐火構造の性能があることが確認され、この開発コンセプトで2時間耐火構造の開発が可能であることが明らかになりました。2時間耐火構造が実現すれば、5階から14階建ての木造建築物を建設することが可能となることから、「銀座に中層木造建築物出現」ということも夢ではなくなります。 本研究は、農林水産省「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業(課題番号2009)」による成果です。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| カテゴリ | 薬剤 |
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