唾液ストレスマーカーの個人差にせまる

タイトル 唾液ストレスマーカーの個人差にせまる
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 恒次 祐子
宮崎 良文
発行年度 2011
要約 唾液中のストレスマーカーによってストレス度を評価する手法が広まりつつあります。本研究では各種ストレスマーカーにおける測定値の個人差がその人の性格特性や安静状態での測定値と関係することを見出しました。
背景・ねらい 唾液中のストレスマーカーによってストレス状態を評価する手法が広まりつつあります。唾液は簡便に採取できることもあり、様々な分野での応用が期待されていますが、マーカーによっては測定値の個人差が大きく、必ずしも良い結果が得られるとは限りません。本研究では新しいストレスマーカーとして期待されているアミラーゼと、ストレスホルモンとも呼ばれ多くの研究がなされているコルチゾールに着目し、それらの測定値に影響を与える要因を検討しました。その結果、個人の性格特性や安静時の状態が測定値に影響する可能性を明らかにしました。
成果の内容・特徴

唾液で分かるストレス

唾液中にはストレスによって分泌が変化する物質(ストレスマーカー)がいくつかあり、それらの濃度を調べることによりストレス状態を評価することができます。唾液は血液や尿よりも採取がしやすく、測定に伴うストレスも少なくて済むため、製品開発や環境評価などいろいろな分野での応用が広まりつつあります。
私たちの研究チームも森林環境や木をいかした居住環境の評価のためにストレスマーカーの測定を行ってきました。しかし測定値には個人差が大きく、うまく結果を得られないこともありました。
そこで本研究ではストレスマーカー値の個人差をもたらす要因を明らかにすることを目的としました。

性格特性とストレスマーカー

これまでの研究により、「個人の性格」と「環境などに対する生理反応」が関係している可能性が分かってきています。そこで本研究でもまずは性格による影響を調べました。被験者には60項目の質問に答えてもらい、「せかせかタイプ」と「のんびりタイプ」に分けました。
唾液アミラーゼはストレスを受けると分泌が高まるとされ、測定が簡易なことから近年大きく注目されています。安静時の唾液アミラーゼ活性について、前述の2グループを比較したところ、「せかせかタイプ」は「のんびりタイプ」よりも値が低いことが分かりました(図1)。またこの差は1日を通して保たれていました。

元々高い人と元々と低い人

このように唾液中ストレスマーカーの値は元々が高い人と低い人がいます。実はコルチゾールというマーカーについて、元々が低い人はストレス時に分泌が大きく増え、高い人はあまり変化がないということが報告されています。ではこの人たちが「リラックス」するとどうなるのでしょうか。
森林中で15分前後の散策をしてもらったところ、全員の平均値ではコルチゾール濃度は下がり、ストレスが緩和されていることが分かりました(図2)。一方個人の値を見てみると、元々の値の高い人では大きくコルチゾールが低下したのに対し、元々が低い人はあまり変化がないことが明らかになりました(図3)。つまりストレス時と同じく「リラックス」時の変化もその人が元々持っている値に影響を受ける可能性が見出されました。

平均値だけでは分からない

ストレスマーカーを使った研究では全員の平均値による評価が行われることが多いのですが、本研究の結果は個人の性格特性や元々持っている値を考慮することが必要であることを示しています。このような研究を進めることにより、個人差を考慮して快適な居住空間の評価を行うことができるようになります。
図表1 235229-1.png
図表2 235229-2.png
図表3 235229-3.png
カテゴリ 評価法

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