タイトル | 遺伝子組換え水稲と非組換え水稲の広域での交雑率を簡便に推定する指標を開発 |
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担当機関 | (独)農業環境技術研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
岩崎亘典 米村正一郎 芝池博幸 |
発行年度 | 2011 |
要約 | 遺伝子組換え(GM)水稲と非GM水稲の交雑率を、地域スケールで評価するための指標を開発しました。この指標はGM水稲と非GM水稲の圃場が接する部分の長さと非GM水稲圃場の面積を基に算出され、デジタル地図と地理情報システムを利用することにより広域での交雑率を簡便に推定することができます。 |
背景・ねらい | GM水稲を導入した場合に、非GM水稲との間に生じる交雑を、地域スケールで推定するためには、水稲の開花時期や風向・風速などのデータを準備し、高速なコンピュータを用いて複雑なシミュレーション計算を行う必要がありました。本研究では、地図情報から広域の交雑率を簡便に推定できる指標を考案し、従来のシミュレーション計算結果と比較してその有効性を検証しました。 |
成果の内容・特徴 | 交雑率推定指標は、複雑なシミュレーション計算により算出する交雑率を、より簡便に推定するための指標です。算出式は(GM圃場と非GM圃場の接線長)/(非GM圃場の面積)とし、デジタル地図の情報を利用してGM圃場に接している非GM圃場一筆毎に計算します(図1)。地域スケールなど広域での評価には、推定指標の平均値を求めました。 この指標の有効性を検証するために、3km×4kmの範囲でGM圃場の割合を15~90%まで15%刻みで変化させてランダムに選択した場合について、シミュレーション計算から得られた推定交雑率と交雑率推定指標の関係を解析したところ、きわめて高い相関係数(1.00)が得られました(図2)。また、関東地方の異なる水田地域11ヶ所(各3km×4km)を対象に、GM圃場の割合を30%に固定して同様の解析を行ったところ、相関係数0.75という有意な関係が認められました(図3)。以上の結果から、交雑率推定指標を用いることで、GM水稲が導入された場合の交雑率を簡便かつ高い精度で推定できることが確認されました。 交雑率推定指標を利用することにより、GM水稲を導入した場合に交雑率が高くなる地域を予測することや、地域内で交雑率を低く抑える圃場配置の検討が可能になります。また、GM水稲を対象とした評価だけではなく、糯品種の生産団地における品種管理や交雑率を低く抑える圃場配置の検討などへの応用が可能です。 この指標を計算するためのプログラムは、自由に入手・再配布可能な地理情報システム(PostGIS)上で動作します。利用を希望される方は研究担当者までご連絡ください。 |
成果の活用面・留意点 | 本研究は、農林水産省新農業展開ゲノムプロジェクト「次世代遺伝子組換え生物の生物多様性影響評価手法の確立及び遺伝子組換え作物の区分管理技術等の開発」による成果です。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
研究内容 | http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result28/result28_38.html |
カテゴリ | 管理技術 水田 水稲 品種 |