| タイトル | スギ花粉に含まれる放射性セシウム濃度の推定手法を開発 |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
清野 嘉之 赤間 亮夫 金指 達郎 |
| 発行年度 | 2012 |
| 要約 | 福島第一原子力発電所事故後に形成されたスギ雄花をいろいろな場所で採取して、放射性セシウムの濃度を計測し、スギ花粉に含まれる放射性セシウムの濃度を広域に推定する手法を開発しました。 |
| 背景・ねらい | 東京電力福島第一原子力発電所の事故により飛散した放射性物質が、スギ花粉の飛散によって、さらに拡散することが懸念されていました。事故後に形成されたスギ雄花を福島県内133箇所で採取し、セシウム134とセシウム137の濃度を測定したところ、地上1mの空間線量率と雄花の放射性セシウム濃度との間には正の相関があることが分かりました。放射性セシウムの雄花から花粉への移行率は現在調査中ですが、その結果を合わせると、文科省が公表している航空機観測による空間線量率データを利用して、スギ花粉に含まれる放射性セシウム量を広域に推定できます。 |
| 成果の内容・特徴 | 研究の背景東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質が飛散した地域には、多くのスギが生育しています。このスギがつくる花粉に放射性セシウムが含まれている場合、飛散した花粉による被曝が心配されていました。スギ花粉の飛散範囲や飛散量は、スギ花粉飛散予報モデルなどにより、既に予測が行われています。しかし、花粉に含まれる放射性セシウムは測定例がなく、科学的なデータが必要です。スギ花粉に含まれる放射性セシウム濃度がわかれば、スギ花粉とともにどれくらいの量の放射性セシウムが飛散するかを広い地域にわたって推定できます。そこで、森林総合研究所では、福島県を含むいろいろな場所で、事故後に形成されたスギ雄花の放射性セシウム濃度を調べました。 スギ雄花の放射性セシウム濃度事故後に形成されたスギ雄花を福島県の133箇所で採取し、セシウム134とセシウム137の濃度を測定(図1)したところ、計測したスギ雄花の放射性セシウム濃度は、乾燥させた雄花1kg当たりで最大253,000ベクレル、最小100ベクレル未満でした。また、地上1mの空間線量率と雄花の放射性セシウム濃度との間には正の相関があることが分かりました(図2)。放射性セシウムが雄花から花粉にどの程度移行するかについては現在調べていますが、その結果を合わせると、文科省がホームページで公表している航空機観測による空間線量率データと、今回得られた知見を利用して、スギ林がつくる花粉に含まれる放射性セシウム量を広域に推定し、スギ花粉による人の放射性セシウムの被曝量を推定することができます。林野庁は、この調査結果を踏まえて、飛散する全てのスギ花粉に253,000ベクレルの放射性セシウムが含まれていると仮定した場合でも、スギ花粉の吸入による被曝量は一時間あたり0.000192マイクロシーベルト(東京都新宿区で観測された一時間あたりの放射線量の約0.4%)という試算結果を公表しています(詳しくは林野庁の公表資料(*)をご覧ください)。 今後の課題調べたスギ雄花は事故後の7月以降につくられたので、雄花に含まれていた放射性セシウムは、飛散した放射性セシウムがスギの樹体内の何らかの経路を通じて、雄花に運ばれたと考えられます。今後、放射性物質は崩壊による減少とともに、落葉や雨水とともに生態系内を移動するので、空間線量率やスギの放射性セシウム濃度も変化していく可能性があります。こうした森林生態系での変動を明らかにして、花粉による放射能被曝の軽減や予防に生かしていきます。*林野庁の公表資料 http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/hozen/pdf/120208-03.pdf 本研究は、交付金プロジェクト「スギ花粉に含まれる放射性物質に関する研究」により行いました。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 研究内容 | http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2012/documents/p66-67.pdf |
| カテゴリ | 乾燥 |
| 落葉広葉樹における伐採後の枝条処理による窒素供給の制御 |
| 局地気象研究のための大気−植生結合モデル |
| 地域資源情報解析のための水文情報表示ソフト |