| タイトル |
濁水に対するアユのストレス感受性 |
| 担当機関 |
(独)水産総合研究センター 増養殖研究所 |
| 研究期間 |
2008~2010 |
| 研究担当者 |
井口恵一朗
安房田智司
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| 発行年度 |
2011 |
| 要約 |
友釣りアユ漁場における近年の釣獲不振に対処するために、ストレス強度が高まるとナワバリ形成能が低下するという対応関係を前提に、河川水の濁りがもたらすストレスの効果を評価した。実験の結果、河川水の濁りはストレッサーとして作用することが確認され、たとえ非致死的な軽度の濁りであっても、浸漬時間の長期化に伴ってストレスを与えることが明らかになった。
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| 背景・ねらい |
近年、種苗放流による増殖対策を講じているにもかかわらず、アユの漁獲不振が顕著な漁場が各地で見受けられるようになってきた。漁獲量の減少にはさまざまな要因が関与していると考えられるが、河川環境の変化も要因候補の一つとして取り上げることができるかもしれない。河川環境の改変は、自然条件に加えて、治水・利水に関わる社会的ニーズの変遷に応じて施される改修事業等によりもたらされてきたという側面を持つ。アユ漁場の持続的有効利用を願い、環境情報に対するアユの生理応答に基づいて、不良漁場を形成するメカニズムについて解明を試みる。
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| 成果の内容・特徴 |
先行研究において、強いストレスに曝されたたアユは、排他的摂餌を通じてナワバリ支配が確立した後であっても、攻撃を介した個体間の干渉が起こらなくなることが示された。このことから、ストレス強度が高まれば、釣獲の対象から外れる個体が増え、友釣り漁場の成立を困難にさせると予想された。そこで本課題では、環境ストレッサーの候補として河川水の濁りを取り上げ、血中のコルチゾル濃度を指標に、濁度とストレスの対応関係を検討した。カオリン(白陶土)を用いて濁度を調整した試験を通じて(図1)、たとえ魚体に致死的な作用をもたらすことはない軽度の濁りであっても、侵漬時間が長引けばストレスを与えることが判明した(図2)。湖産、海産、継代人工アユ間の比較では、濁水に対する反応では同様の傾向を示したが、継代人工アユでは感受性の鈍化が検出された(図3)。
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| 成果の活用面・留意点 |
- 河川水の濁りが頻出するような不良漁場では、濁りがアユにストレスを与えていると考えられるため、漁場回復には濁りの除去が効果的であると考えられる。
- 継代飼育が繰り返された人工種苗では、家魚化の進行に伴ってストレス感受性が鈍化しているおそれがあり、放流効果に悪影響を及ぼす場合が考えられる。
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| 図表1 |
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| 図表2 |
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| 図表3 |
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| 研究内容 |
http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3431&YEAR=2011
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| カテゴリ |
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