津波後の岩手県宮古湾におけるアマモ場および稚魚の状況

タイトル 津波後の岩手県宮古湾におけるアマモ場および稚魚の状況
担当機関 (独)水産総合研究センター 東北区水産研究所
研究期間 2011~2012
研究担当者 野田 勉
発行年度 2012
要約 東日本大震災で発生した津波が沿岸のアマモ場と稚魚に及ぼした影響と、攪乱からの回復過程を把握するため、岩手県宮古湾内のアマモおよび魚類の生息状況について調査し、震災前のデータと比較した。その結果、アマモおよび魚類の生息密度は、震災後大幅に減少したが、震災1年後には両者とも回復の傾向が見られ、湾内の環境が稚魚の成育に適した状態に戻ってきていると考えられた。
背景・ねらい 岩手県宮古湾の奥にはアマモという海草が生育している藻場があり、様々な稚魚が育つ場所であった。加えて、湾奥の藻場は栽培漁業における稚魚の放流適地としても重要であった。しかし、東日本大震災で発生した津波は宮古湾の地形を変化させるほどの大きな影響を与えた(図1)。そこで、湾内の藻場と稚魚の状況を把握するとともに、その回復過程を調べるため、2011年6月以降、アマモの密度と地曳網を用いた稚魚の調査を開始した。また、その結果を震災前の2010年6月のデータと比較した。
成果の内容・特徴 震災前の2010年6月と、震災後2011年6月のアマモの状態を比べた結果、一本当たりの葉の長さは大きく変わらないものの、1㎡あたりの本数は約30%に減少していた(図2)。しかし、その後2012年6月には本数は増加し、復活の傾向が見られた。一時減少したアマモが順調に増加していることから、光や水質など、アマモが育つ条件が回復していると考えられた。
また、地曳網を用いて稚魚調査を行い、震災前後のアマモ場の魚の生息数を比較した結果、震災直後には数が大きく減少していたが、約1年後の2012年6月には回復傾向が見られた(図3)。一方、魚の種類数に関しては、震災後に大幅な減少は見られず、2011年6月以降、今までの湾内の調査で60種類以上の稚魚が確認された。震災後、減少した魚の生息数が増加傾向にあることから、湾内の環境が稚魚の成育に適した状態に戻ってきていると考えられた。
成果の活用面・留意点 宮古湾の奥部は稚魚の放流適地となっており、高い回収率が得られている。震災後、場所によっては種苗の放流が再開されているが、津波を受けた海域で天然稚魚が増えているということは、稚魚の放流に適した状態に戻ってきているということでもあり、その効果が見込める。
図表1 235467-1.gif
図表2 235467-2.gif
図表3 235467-3.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4189&YEAR=2012
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