日本海沖合域におけるズワイガニ属メガロパ幼生の分布特性

タイトル 日本海沖合域におけるズワイガニ属メガロパ幼生の分布特性
担当機関 (独)水産総合研究センター 日本海区水産研究所
研究期間 2011~2015
研究担当者 本多直人
渡邊達郎
発行年度 2012
要約 2008~2011年の6月に日本海沖合域において実施したズワイガニ属(ズワイガニ及びベニズワイ)幼生の採集調査および海洋観測から、これまで情報が乏しかったメガロパ幼生の分布特性に関する知見を得た。
背景・ねらい ズワイガニ属幼生の輸送には流れの変動が大きな影響を及ぼし、漁場形成や資源量変動に関与している。2007年までに実施したゾエア期幼生の分布調査では、島根沖冷水域の離接岸が輸送状況に影響を及ぼしている可能性が示された。そこで、2008~2011年の各6月に水産庁調査船照洋丸で実施した詳細な分布調査から、特に知見が乏しく浮遊期間も長いメガロパ期幼生の分布特性を調べた(表1)。
成果の内容・特徴
  • 採集されたズワイガニ属幼生のほとんどがメガロパ期で、ベニズワイはズワイガニの約2倍の個体数密度であった。両種とも水深150m未満の海域ではほとんど採集されず、沖合の冷水域内の分布が多かった。個体数密度は年々増加傾向であった(図1)。
  • 両種のメガロパとも深度0~500mに分布しており、深度100m未満に大部分が分布するゾエアよりも分布深度範囲は大きかった。モード深度はズワイガニが100~250m、ベニズワイが100~300mで、モード水温は両種ともに4~10℃であった(図2)。幼生の鉛直分布は海水密度分布にある程度依存する傾向があり、海洋構造の季節変化のみによっても幼生は沈降しやすくなることが示唆された。
  • 甲幅および甲長はベニズワイの方がズワイガニよりも大きかった(図3)。体サイズと水平分布および鉛直分布に明確な相関はなかった。
成果の活用面・留意点
活用面:
  • 分布特性から推定された沈降様式をシミュレーションに取り入れることで、過去の輸送経路を概ね再現可能になった。
  • 調査で得られた知見を、飼育に適した環境情報として種苗生産現場に提供できる。
留意点:
  • 2012年も同様な分布調査を実施して、現在データを解析中である。
  • 生態知見(孵出場所、浮遊期間、沈降特性、日周性、生残、着底条件等)のさらなる解明には、分布調査の継続に加えて水槽実験による検討が重要である。採集個体を飼育して環境と成長の関係を解析すれば、孵出および着底時期を推定できる。また、水槽実験で幼生の物理的および生物的な特性を調べることで、浮遊沈降機構の詳細な把握が期待できることから、現在実験を進めている。
図表1 235489-1.gif
図表2 235489-2.gif
図表3 235489-3.gif
図表4 235489-4.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4241&YEAR=2012
カテゴリ 輸送

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