トマトの花芽形成組織における2種ウイロイドの組織内分布の差異

タイトル トマトの花芽形成組織における2種ウイロイドの組織内分布の差異
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所
研究期間 2011~2011
研究担当者 松下陽介
津田新哉
発行年度 2011
要約 トマトの生殖器官において、トマト退緑萎縮ウイロイドの感染は胚珠にまで至らないが、ジャガイモやせいもウイロイド(PSTVd)は胚珠内部にまで感染する。PSTVd感染トマトで頻発する種子伝染は、胚珠内部にまで感染したウイロイドが引き起こす。
キーワード トマト退緑萎縮ウイロイド、ジャガイモやせいもウイロイド、種子伝染
背景・ねらい 2006年に広島県内の施設栽培トマトでトマト退緑萎縮ウイロイド(TCDVd)、2008年に福島県の施設栽培トマトでジャガイモやせいもウイロイド(PSTVd)による我が国未発生の病害が確認された。これらの新規ウイロイドは輸入種苗によって日本国内に侵入した可能性が示唆された。TCDVdとPSTVdは、相同性85~89%を示す極近縁種である。しかし、PSTVdはトマトで種子伝染することが確認されているがTCDVdは学術的に不明である。両ウイロイドにおける種子伝染の相違を明らかにするため、花芽分化から種子形成に至るまでの生殖組織の時系列変化において生じる二つのウイロイドの感染分布の変遷を組織化学的に比較解析し、種子伝染の実態を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. トマトの生殖組織におけるTCDVdの組織内分布を調べるため、in situ hybridization法を用いてパラフィン切片を作製する。TCDVdは、感染トマトの花芽形成期の初期において雄ずいで認められるが、未分化の胚珠や胎座では見られない(データ略)。花芽形成期の後期および開花期では胎座に感染が認められるが、胚珠には感染していない(図1)。
  2. PSTVd感染トマトでは、開花期で胚珠や胎座、雄ずいに感染が認められる(図1)。
  3. TCDVdに感染したトマトから得られた種子120粒を播種しても種子伝染は確認されない。一方、PSTVdはトマトでの種子伝染率が2~23%に達すると報告されている。
  4. PSTVd感染トマトにおいて起こる種子伝染は、本ウイロイドが種子内部の胚珠等の生殖組織にまで感染していることから、種子表面の汚染に加え内部にまで侵入しているウイロイドが原因と推察される。
成果の活用面・留意点
  1. ウイロイドの真性種子伝染に関与する内部組織を絞り込むことで、種子内の感染組織に照準を合わせた精度の高い汚染種子検査法が開発できる。
  2. ウイロイド種により異なる種子伝染様式を明らかにすることで、表面汚染だけの場合に有効な種子消毒方法の開発に役立てる。
  3. ウイロイドの種子伝染機構に基づき、トマトにおけるPSTVdの種子伝染遮断技術の開発に連携する。
図表1 235553-1.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/flower/2011/152a0_10_05.html
カテゴリ 施設栽培 種子消毒 トマト 播種 ばれいしょ

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