タイトル |
水田輪作ダイズ圃場の発生前歴に基づくGISを用いた雑草発生危険度予測 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2007~2011 |
研究担当者 |
中谷敬子
澁谷知子
渕山律子
鄭 凡喜
三浦重典
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発行年度 |
2011 |
要約 |
GIS(地理情報システム)を用いた雑草発生程度と発生草種の前歴情報の集積とそれに基づいた雑草発生危険度の予測は、大規模水田輪作地帯のダイズ作圃場における雑草防除対策の策定に有効である。
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キーワード |
水田輪作、GIS、ダイズ、雑草発生危険度予測、雑草発生前歴、雑草防除
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背景・ねらい |
大規模水田輪作地域においてはIT技術の活用等により地域全体の各種圃場情報を一元的に管理、利用し、効率的な圃場管理作業計画を策定することが求められている。
イネ・ムギ・ダイズの輪作体系のダイズ作圃場における雑草発生に関する前歴情報をGIS (地理情報システム)を活用して一元的に統合・解析し、地域全体および圃場ごとの発生危険度を予測することにより、より効果的および効率的な除草作業計画の策定を支援する。
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成果の内容・特徴 |
- 雑草発生に関する前歴情報として、ダイズ登熟期にダイズ栽培圃場一筆ごとの雑草発生程度と発生草種を調査し、GIS(地理情報システム)に入力集積する。雑草発生程度は圃場全体の雑草発生面積割合を達観により7段階で評価する(表1)。GISを用いて前歴情報をマッピングすることにより地域全体の雑草発生動向を容易に把握できる(図1)。
- 前作のダイズ作圃場における雑草発生程度の評価ランク「2以下」と「3以上」および茎葉処理剤全面処理の効果が低い帰化アサガオ類等の難防除雑草の発生「無し」と「発生」の組み合わせにより、次期のダイズ作における雑草発生危険度を図2に示すA~Dの4段階で予測できる。GISを用いて予測結果から雑草危険度予測マップを作成し、除草作業計画の策定に資する(図2)。
- 茨城県筑西市の大規模水田輪作地帯(約500ha)における輪作体系(3年4作)のダイズ栽培圃場(各年約400~450筆)を対象とした場合、前歴が発生程度「2以下」の圃場では輪作後も発生程度が「2以下」になる確率は70%以上と高く、同一圃場に「帰化アサガオ類」が再発生する確率も70%以上と高い。発生前歴に基づいて予測した雑草発生危険度は実際の雑草の発生から得られる危険度と良く一致する(全ランクで60%以上、危険度が低いランクA では約75%が一致)ことから、本危険度予測は除草作業計画の策定に有用である。
- 前歴の雑草発生程度が評価ランク「0」の圃場の8割以上は次期ダイズ作で「2以下」の発生となり、前歴が「3以上」の圃場の5割以上は次期ダイズ作でも「3以上」の発生となる。この傾向は発生程度の評価ランクと雑草埋土種子量との関係により裏付けられる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- ダイズ作における一般的な除草体系としては、播種前除草処理、播種時土壌処理剤散布、中耕培土、生育期茎葉処理剤散布、帰化アサガオ類対策としては非選択性茎葉処理剤の畦間処理、手取り除草等が想定される。
- 圃場前歴情報として防除歴を加えることにより危険予測度を高めることができる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2011/152d0_10_10.html
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カテゴリ |
病害虫
あさがお
雑草
除草
水田
大豆
土壌処理
難防除雑草
播種
防除
圃場管理
輪作
輪作体系
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