タイトル |
秋季の紅葉が鮮やかなカキ新品種「朱雀錦」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 |
2002~2011 |
研究担当者 |
佐藤明彦
山田昌彦
河野 淳
三谷宣仁
上野俊人
白石美樹夫
小林省藏
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発行年度 |
2011 |
要約 |
カキ新品種「朱雀錦」は、「横野」に310-24(「羅田甜柿」×「太秋」)を交雑して育成した紅葉専用品種である。採葉時期が既存の紅葉専用品種より遅く、落葉時の葉の着色は優れており、濃い赤色を示す。
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キーワード |
カキ、新品種、紅葉、濃赤色
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背景・ねらい |
日本料理に添えられるカキの葉には、「丹麗」や「錦繍」といった紅葉専用品種や、紅葉が比較的優れる既存品種が用いられている。これらの紅葉利用のためのカキ品種は、地域によっては紅葉程度が不安定であることや、採葉期間が重なることなどから、既存品種とは葉色や採葉時期が異なるなど、より多様な品種が求められている。そこで、「丹麗」や「錦繍」とは落葉時の葉色や採葉時期が異なる品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 2002年に果樹研究所ブドウ・カキ研究部(現:農研機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点)において、渋ガキである「横野」に、完全甘ガキの育成系統である310-24を交雑して得られた実生から選抜した品種である。2007年から開始された研究高度化事業(現 実用技術開発事業)において、秋季の紅葉に注目し、紅葉を利用するための評価を行い検討した結果、紅葉特性が優れることが明らかになり、新品種候補として選抜した。2011年6月23日に品種登録出願し、同年10月7日に「朱雀錦」(すざくにしき)として出願公表された。
- 樹勢はやや弱く、樹姿は開張性である(表1)。育成地(広島県東広島市安芸津町)における展葉期は「丹麗」および「錦繍」とほぼ同時期で、雌花、雄花、両全花が着生し、雌花は少ない。果実の甘渋性は不完全渋ガキである。肉質は粉質で、脱渋後の品質が優れないため、生食用としては適さない。
- 採葉開始期および落葉期は「丹麗」より1週間程度遅く、「錦繍」より4日程度遅い(表1)。採葉期間は「丹麗」より長く、「錦繍」と同程度である。落葉時の葉色は濃橙赤から濃赤茶である(表1)。黄色みが強い「丹麗」に比較して赤みが強い紅葉が得られる(表2、図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 奈良県農業総合センター果樹振興センターで紅葉特性を評価した結果、良好な紅葉が得られた。地域適応性は十分に明らかになっていないが、カキの紅葉利用を目的とした栽培地域において利用が期待される。
- 葉の強度が高く、加工用途を想定した包み適性が優れることから、紅葉した葉を用いた新たな加工品への利用が期待される。
- カキの葉を利用目的とする栽培では、「かき(葉)」あるいは「野菜類」に登録がある農薬のみが使用を許されており、果実の利用を目的とした登録農薬は用いることができないので注意を要する。
- 苗木は2012年秋季より販売される予定である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2011/142b0_10_05.html
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カテゴリ |
病害虫
かき
加工
新品種
農薬
品種
ぶどう
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