渋ガキ「太天」および「太月」の脱渋特性

タイトル 渋ガキ「太天」および「太月」の脱渋特性
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2010~2011
研究担当者 山﨑安津
河野 淳
東 暁史
小林省藏
佐藤明彦
薬師寺博
発行年度 2011
要約 「太天」は26および30℃、「太月」は20~30℃のCTSD炭酸ガス処理で脱渋が進行し、後加温6日後に渋味は完全に消失する。「太天」の可溶性タンニンは、「太月」と比べ、アセトアルデヒドによって不溶化しにくいと推定される。
キーワード カキ、脱渋、CTSD、タンニンプリント値
背景・ねらい 「太天」および「太月」は、農研機構果樹研究所が育成し、2009年に品種登録された渋ガキの新品種であり、大果で食味が優れることから、普及が期待されている。渋ガキは収穫後に脱渋処理を必要とするが、現在の主力の渋ガキ品種である「平核無」や「刀根早生」で用いられてきた脱渋方法は必ずしも適応せず、特に「太天」は脱渋に長時間かかることが問題となっている。これまで、渋ガキ品種の脱渋の難易は、脱渋をもたらす物質であるアセトアルデヒドの果実内での蓄積が起こりやすいか否かで生じると考えられてきた。そこで、脱渋処理中のアセトアルデヒド含量を測定することにより両品種の脱渋特性を解明し、最適な脱渋法開発のために必要な基礎的知見を得る。
成果の内容・特徴
  1. エチルアルコール処理、CTSD処理および窒素ガス処理のいずれにおいても、「太月」は「太天」より脱渋しやすく、脱渋処理最終日には完全に脱渋する(図1および表1)。ただし、エチルアルコール処理7日後には、両品種ともすべての果実が軟化する(データ略)。
  2. 「太天」は、26℃または30℃において炭酸ガス100%24時間、空気中に6日(後加温)のCTSD処理で渋味がなくなり、完全に脱渋する(表1)。
  3. 窒素ガス処理では、「太月」の果実内アセトアルデヒド含量は「太天」より早期に増大する(図2)。これと対応して、タンニンプリント値は早期に低下し、脱渋は早く進行する。
  4. CTSD処理では、炭酸ガス処理終了時に「太天」は「太月」と同程度にアセトアルデヒドが蓄積し、その2日後には「太天」のアセトアルデヒド含量は「太月」より高い(図2)。しかし、いずれの時期でもタンニンプリント値は「太天」のほうが「太月」より高く、脱渋の進行が遅い。この現象から、「太天」の可溶性タンニンは、「太月」と比べ、アセトアルデヒドによって不溶化しにくいと推定される。
成果の活用面・留意点
  1. 「太天」の短期脱渋技術を開発するための基礎的知見となる。
  2. 処理温度が高い場合には酸味が生じやすい。
  3. 「太月」では、処理温度が高い処理区で条紋の程度が大きくなる場合がある。
図表1 235593-1.gif
図表2 235593-2.gif
図表3 235593-3.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2011/142b0_10_06.html
カテゴリ かき 新品種 品種 良食味

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