初乳中CD14陽性細胞率が低値の牛は分娩後に乳房炎を発症しやすい

タイトル 初乳中CD14陽性細胞率が低値の牛は分娩後に乳房炎を発症しやすい
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2006~2008
研究担当者 菊 佳男
尾澤知美
櫛引史郎
松原朋子
北崎宏平
阿部憲章
須藤まどか
高橋秀之
林 智人
発行年度 2011
要約 分娩後1週間以内に乳房炎を発症する乳用牛は、分娩直後の初乳中のCD14陽性細胞率が乳房炎にならない健康牛に比較し低値を示す。初乳中CD14陽性細胞率の測定は、分娩後の乳房炎発生予測に利用できる可能性がある。
キーワード 乳房炎、周産期、初乳、白血球細胞構成、CD14
背景・ねらい 乳用牛において分娩直後は最も乳房炎発生の多い時期であり、この時期の乳房炎制御が酪農経営の重要課題の1つと考えられている。周産期は分娩および泌乳によるストレスによって生体防御能の低下が誘導されるため、本疾病が多発する。初乳中には免疫グロブリンや白血球等の免疫成分が豊富に含まれているが、それらの成分と母牛の乳房内免疫状態についての関係を評価した報告は少ない。本研究において、初乳中白血球の乳房内における役割について検討するため、初乳中の白血球細胞構成と分娩後の乳房炎発生について関連性を調査する。
成果の内容・特徴
  1. 分娩時に乳房炎簡易診断法であるCMT変法にて乳房炎と診断されないホルスタイン牛14頭(1頭につき1分房ずつ)を供試する。分娩後1週間以内に乳房炎になる牛を乳房炎群(8頭)、乳房炎にならない牛を健康群(6頭)とすると、2群間の分娩時における末梢血白血球数および血液生化学検査結果に差は見られない(表1)。
  2. 健康群と乳房炎群において、フローサイトメトリーによる末梢血中の単核球集団の解析を行うと、2群間において、白血球の細胞分類マーカー(表面抗原マーカー)であるCD3、CD4、CD8、CD14、CD21およびWC1の各陽性細胞率に差は見られない(表2)。
  3. 健康群と乳房炎群において、フローサイトメトリーによる乳汁中の単核球集団の解析を行うと、2群間のCD3、CD4、CD8、CD21およびWC1陽性細胞率に差は見られないが、CD14陽性細胞率は乳房炎群が健康群に比較し有意に低値を示すので、分娩後の乳房炎発生の予測に利用できる可能性がある(表3)。
成果の活用面・留意点 CD14陽性細胞(単球/マクロファージ)は自然免疫応答に重要な役割を担うが、分娩後1週間以内に乳房炎を発生する分房と発生しない分房では、それらの分房から得られる初乳中のCD14陽性細胞率が異なる。
図表1 235701-1.gif
図表2 235701-2.gif
図表3 235701-3.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2011/170e1_10_27.html
カテゴリ 簡易診断 経営管理 乳牛

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