中山間地域におけるオオムギ生産による耕作放棄地の発生抑制・再生条件

タイトル 中山間地域におけるオオムギ生産による耕作放棄地の発生抑制・再生条件
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2011~2011
研究担当者 芦田敏文
唐崎卓也
遠藤和子
福與徳文
発行年度 2011
要約 オオムギ生産とその加工・直接販売により追加所得を実現することで、農家が主体的に耕作放棄地を再生しうる。加工品の需要確保と農家の生産意欲を向上させることが、耕作放棄地の発生抑制および再生に重要な条件である。
キーワード 中山間地域、オオムギ、耕作放棄地、加工、直接販売、試食、農産物情報
背景・ねらい 中山間地域では平場と比較して、農地基盤・立地条件が不利であり労働コストを要する。そのため、効率的かつ安定的な農業経営の成立が困難であり、小規模の個別農家各々を生産の担い手に位置づける必要があろう。しかしその大半は、労働力の投入余力・意欲ともに乏しく、耕作放棄地が増大している現状にある。今後、耕作放棄地の発生抑制ならびに再生を図るには、これらの主体が耕作放棄地で生産する具体的作物の提案が求められている。本研究では、比較的労働時間を必要としないオオムギを取り上げ、中国地方の中山間地域における生産事例から、オオムギ生産による耕作放棄地の発生抑制・再生条件を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 寒冷な中山間地域の小規模生産事例(稲作農家3戸、作付面積10a前後)におけるオオムギ(裸麦「マンネンボシ」)の生育期間は、温暖な平場のそれと比較して長いが、オオムギ播種・収穫と稲作の作業競合は無いため(図1)、稲作農家の耕作放棄地における生産には適している。稲作用コンバインを収穫に援用し、生産費用を節減できる利点もある。
  2. 生産事例の10aあたり労働時間(26~35時間)は、類似規模の麦生産費調査における労働時間と同等かやや上回るが、稲作の平均労働時間を下回る(図1)。オオムギ生産は、必要労働量が比較的少なく、耕作放棄地の発生抑制ならびに再生に適している。
  3. JA等を通じた通常の玄麦販売では採算が合わず、またJA等がオオムギの集荷を取り扱わない地域も多いため、農家が玄麦の商品加工(事例では丸麦、菓子加工)を行い、直売所・インターネット等で直接販売することが必要となる。丸麦加工事例での販売価格は、玄麦販売のみならず、水稲を大きく上回る10aあたり追加所得を実現する(図2)。
  4. 販売不振により上記追加所得が実現しなければ、生産が中止され再び耕作放棄されるおそれがある。そのため、オオムギ加工品の需要確保がきわめて重要となる。オオムギ加工品(丸麦)の麦ご飯による試食は、比較的容易に実施可能であり、消費者の麦ご飯に対するイメージを改善し、オオムギ消費を促進する効果をもたらし、需要確保のために有効な手段である(図3)。
  5. また販売時に、希少性、オオムギ生産による耕作放棄抑制への有効性等、オオムギ加工品に正のイメージを付与する農産物情報を提供することは、消費者の受容価格の向上に有効な手段である(表1)。受容価格の向上による追加所得の向上は、農家のオオムギ生産意欲を向上させ、耕作放棄地の発生抑制および再生に貢献すると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 事例におけるオオムギ加工品の販売実績が発売当初芳しくなかったことから、とくに大面積の生産を行う場合は、オオムギ加工品の需要確保の取組が極めて重要となる。
図表1 235734-1.png
図表2 235734-2.png
図表3 235734-3.png
図表4 235734-4.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2011/420b0_10_03.html
カテゴリ 大麦 加工 経営管理 コスト 中山間地域 播種

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