チカラシバ近縁植物におけるアポミクシス特異的染色体とその系統関係

タイトル チカラシバ近縁植物におけるアポミクシス特異的染色体とその系統関係
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2004~2011
研究担当者 秋山征夫
Goel, S
Conner, JA
Hanna, WW
山田-秋山仁美
Ozias-Akins, P
発行年度 2011
要約 チカラシバ近縁植物種では、生殖様式が無性生殖(アポミクシス)である植物種には相似性の高いアポミクシス特異的染色体領域(ASGR)が存在し、有性生殖の植物種にはASGRが存在しない。また、これらの植物種の遺伝的距離と生殖様式の関連性は低い。
キーワード アポミクシス、ASGR染色体、進化、チカラシバ
背景・ねらい 無性生殖(アポミクシス)はヘテロシス固定、育種年限の短縮等への利用が期待されているが、そのメカニズムは解明されておらず、連鎖不均衡のため遺伝子座も絞り込まれていない。チカラシバ(Pennisetum)属および近縁植物Cenchrus属には、有性生殖とアポミクシスの生殖様式を有する植物種が存在する。アポミクシスを有するP. squamulatumでは、約50MBの巨大なアポミクシス特異的染色体領域(Apospory-Specific Genomic Region:ASGR)が観察されており、この領域がアポミクシスを制御すると考えられている。本研究においては、系統解析によりチカラシバ近縁植物におけるアポミクシス植物の系譜を明らかにするとともに、分子細胞学的手法を用いてアポミクシス植物種におけるASGRを解析することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 12種のアポミクシス植物と8種の有性植物に対する3種類のASGR特異的BACクローンを用いた蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)解析では、有性植物種にBACクローンのシグナルは検出されない。一方、全てのアポミクシス植物種において、3種類のBACクローンが同位置に検出されるASGRが存在する。
  2. アポミクシス植物種において、ASGRが座乗する染色体の形態は、染色体長、腕比、凝縮パターンが異なるのみではなく、染色体識別マーカーとして用いられる45S rDNAの有無の差が見られるなど多様である(図1)。
  3. 胚発生関連BABY BOOM (BBM) 遺伝子と相同性が高く、アポミクシスとの関連性が予想されている ASGR-BBM遺伝子を検出するプライマーセットを用いたPCRでは、アポミクシス植物種においてのみPCR産物が増幅する。
  4. Opie-2様レトロトランスポゾンはP. squamulatumのASGRに豊富に存在するためアポミクシスとの関連性が疑われていたが、他のアポミクシス植物種ではASGR特異的ではなく、ゲノム全体でほとんど存在しない場合や豊富に分布する場合があり、アポミクシスとの関連性は低い(図1)。
  5. チカラシバ近縁植物は葉緑体のndhFとtrnL-F遺伝子配列に基づいて作成した系統樹において5グループに分類され、生殖様式の違いは遺伝的距離と関連性が低い(図1、2)。
成果の活用面・留意点
  1. 分子細胞学的手法を用いたASGR染色体の解析は、アポミクシス研究における遺伝子単離や機能解析等の推進に大きく寄与できる。
  2. チカラシバ近縁植物以外のアポミクシス植物との比較解析によって、アポミクシスに必要な染色体領域の絞り込みが期待される。
図表1 235791-1.png
図表2 235791-2.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2011/120b0_10_03.html
カテゴリ 育種

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