タイトル |
ヒエ、ハトムギ種子は2型糖尿病モデルマウス(db/db)の脂質代謝を改善する |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
2010~2011 |
研究担当者 |
渡辺 満
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発行年度 |
2011 |
要約 |
ヒエまたはハトムギの20%混合飼料を2型糖尿病モデルマウスに摂食させると、肝臓コレステロールの低下等脂質代謝を改善する。肝臓コレステロールの低下にはヒエ、ハトムギ摂取による糞への胆汁酸排泄、及び肝臓での胆汁酸合成促進が寄与している。
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キーワード |
ヒエ、ハトムギ、キビ、2型糖尿病モデルマウス、脂質代謝改善
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背景・ねらい |
近年メタボリックシンドロームの患者数が増加しており、中でも糖尿病患者数の増加は著しい。糖尿病は同時に複数の合併症を発症する場合も多く、今後一層の医療費増加の要因として問題視されている。一方、アワ、ヒエ、キビなどの雑穀は東北地域、特に岩手県の特産物として重要な作物であるとともに、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが豊富なことから機能性が期待できる食材として広く受けいれられている。そこで本研究では、ヒエ、ハトムギ、キビを糖尿病モデルマウスに摂食させた場合の作用を、種々の糖尿病パラメータ測定により明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 雑穀を摂食させた2型糖尿病モデルマウス(db/db)(キビ(DP群)、ヒエ(DE群)ハトムギ(DL群))では、体重増加量及び精巣上体脂肪組織重量はカゼイン食を摂食させたDC群と差は認められないが、肝臓重量はいずれの群もDC群より少ない(表1)。なお糖尿病マウス全ての群において、カゼイン食を摂食させた正常マウス(db/+m)(NC群)よりも摂餌量は多く、体重増加量、肝臓重量、精巣上体脂肪組織量も多い。
- 肝臓脂質に及ぼす影響では、DC群と比較してDE群では肝臓コレステロールが有意に低下するのに対し、DL群では肝臓コレステロール及びトリグリセリドが低下する(表2)。なお糖尿病マウス全ての群において、NC群よりも肝臓の脂質、総コレステロール、トリグリセリド量は多い。
- 肝臓でコレステロールから合成される胆汁酸の糞への排泄量は、DE及びDL群でDC群と比較して有意に増加する(図1A)。糞への胆汁酸の排泄量増加に伴い肝臓で減少した胆汁酸量を補うため、肝臓の胆汁酸合成における律速酵素であるコレステロール7-α水酸化酵素(CYP7A1)の遺伝子発現が、DE及びDL群で有意に増加する(図1B)。ヒエ及びハトムギ種子の摂食により2型糖尿病モデルマウス(db/db)の脂質代謝は改善し、肝臓コレステロールの低下には糞への胆汁酸排泄、及び肝臓における胆汁酸合成促進が寄与している。
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成果の活用面・留意点 |
- ヒエ、ハトムギ種子を機能性食品素材として利用する際の知見となる。
- 雑穀添加飼料は、タンパク質をカゼイン食と同一にするため、カゼイン添加量を調整している。飼料は自由摂食である。
- 本試験の効果はヒトでの確認はされていない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2011/310b0_10_03.html
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カテゴリ |
あわ
機能性
きび
機能性食品
はと麦
ひえ
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