タイトル |
紫黒米と黒大豆中の総アントシアニン量を測定する分析法の妥当性確認 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2007~2011 |
研究担当者 |
沖 智之
澤井祐典
古川(佐藤)麻紀
須田郁夫
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発行年度 |
2011 |
要約 |
紫黒米と黒大豆の総アントシアニン量を測定するpH differential法の妥当性を試験所間比較により確認した。紫黒米3種と黒大豆2種でHorRat(Horwitz Ratio)が全て1.5以下であり、本測定法による総アントシアニンの定量は十分な室間再現精度を有する。
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キーワード |
アントシアニン、紫黒米、黒大豆、試験所間比較、妥当性確認
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背景・ねらい |
紫黒米と黒大豆はアントシアニンを含み、機能性食品素材として注目を浴びているが、それらを分析対象試料とした標準化されたアントシアニン分析法は存在しない。分析法の標準化のためには、試験所間比較を実施し、分析法の妥当性を確認(Method Validation)する必要がある。そこで、総アントシアニンの測定法としてpH differential法を選定し、紫黒米と黒大豆を分析対象試料とした場合の妥当性を確認する。
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成果の内容・特徴 |
- 紫黒米と黒大豆からアントシアニンを抽出する操作を最適化し、pH differential法においてフィルターの材質と孔径を選定し、濾過を必須とすることで、単一試験室での分析精度が向上した、標準化のために提案する分光光度計を用いる測定法の概要を図1に示す。なお、本測定法でシアニジン-3-グルコシド(0.96mg)を添加した場合の回収率は、米と大豆でそれぞれ98.9%と92.1%である。
- 紫黒米3種と黒大豆2種の粉砕試料について、均質性を統計的に確認した後、非明示反復試料として6試験室(7測定者)に配付し、標準作業手順書に従って総アントシアニン量の測定を行った試験所間比較の結果を表1に示す。
- 表1の測定値について、コクラン検定、シングルグラブス検定を行い、外れ値を除外した後、併行相対標準偏差(RSDr)と室間再現相対標準偏差(RSDR)を算出した結果、RSDrは0.9~4.0%であり、RSDRは1.5~6.1%の範囲にある。また、Horwitz式の修正式で算出される予測室間再現相対標準偏差(PRSDR)に対するRSDRの比であるHorRat(Horwitz Ratio)は、0.25~1.24の範囲にある(表2)。
- HorRatが全ての試料において、満足のいく分析精度が得られたと評価される1.5以下であることから、紫黒米と黒大豆を分析対象試料とした場合、0.50~2.71mg/g(平均値)の範囲において分析法の妥当性が確認され、本測定法による総アントシアニンの定量は十分な室間再現精度を有する。
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成果の活用面・留意点 |
- アントシアニン含有農産物を機能性食品素材として活用するための基礎的知見となる。
- pH differential法はフルーツ飲料等を対象とした、AOAC 2005.02に採用されている。
- 今回の試験所間比較で妥当性を確認した分析対象試料は、紫黒米と黒大豆であり、これら以外の試料での分析法の妥当性は確認していない。
- pH differential法は、pH4.5で十分に退色しないアシル化アントシアニンでは定量値を低く見積もる可能性があり、ベタイン系色素が含まれている試料には適さない。
- 試験所間比較に用いた試料は、超遠心粉砕機(レッチェ製、ZM-200)による10000rpmでの粉砕でスクリーンメッシュ0.50mmを通過したものである。
- 標準作業手順書は配布可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2011/310a0_10_01.html
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カテゴリ |
機能性食品
大豆
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