森林から流れてくる水に放射性セシウムはほとんど含まれない

タイトル 森林から流れてくる水に放射性セシウムはほとんど含まれない
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 坪山 良夫
篠宮 佳樹
池田 重人
橘内 雅敏
発行年度 2013
要約 福島県内の森林で採取した渓流水の放射性セシウム濃度は多くの場合検出限界以下で、濃度が上昇するのは主に増水して懸濁物質を多く含む時に限られることを明らかにしました。
背景・ねらい 2011年3月に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故では周辺の森林にも放射性物質が降下しました。森林の多くは農地や集落の上流の山地にあるため、そこから流出する渓流水に放射性物質が含まれることへの心配がありました。そこで、事故翌年の3月から福島県内6箇所の森林で渓流水を毎日採取し、放射性セシウム濃度を調べました。その結果、渓流水の放射性セシウム濃度はほとんどが検出限界以下で、濃度が上昇するのは主に降水等に伴って渓流が増水した時に限られていました。また、放射性セシウムが検出された渓流水を濾過して再測定すると不検出になりました。濾過前に検出された放射性セシウムは増水時の渓流水に含まれる懸濁物質*に由来することを突き止めました。

*懸濁物質
細粒の土粒子等、水中に浮遊し、水の濁りや着色として認められる細粒物質。
成果の内容・特徴

渓流水の心配

2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故では周辺の森林にも放射性物質が降下しました。森林の多くは農地や集落の上流の山地にあるため、そこから流出する渓流水とともに放射性物質も出てくることへの心配がありました。そこで、事故翌年の3月から福島県内の6箇所の森林で渓流水を採取し、放射性セシウムの濃度を調べました。

調査の方法

福島県内6箇所(飯舘、伊達、二本松、広野、郡山、会津若松)の森林で調査を行いました(図1)。
2012年3月~4月に、これらの森林を流れる渓流に採水装置を設置しました(写真1)。融雪期の渓流は主に午後から夕方にかけて増水することから、毎日1回午後2時に採水を行いました(以降、この方法で採取した試料を“定時採水試料”と呼ぶことにします)。このうち二本松の調査地では7月まで同様の採水を続けました。また、伊達と飯舘の調査地では同様の採水を10月まで続け、8月からは2台目の採水装置を設置して、採水地点の近くの雨の強さが一定値を越えた時から1時間毎に採水しました(以降、この方法で採取した試料を“降雨時採水試料”と呼ぶことにします)。
現地で回収した水試料の放射性セシウム(Cs-134とCs-137)の濃度をゲルマニウム半導体検出器により、検出限界が1Bq(ベクレル)/L未満となるような条件で測定しました。また、放射性セシウムが検出された水試料は、ガラス繊維フィルター(捕留粒子径0.5μ)で濾過し、懸濁物質濃度(SS)と濾液の放射性セシウム濃度を測定しました。なお、食品衛生法に基づく飲料水の放射性セシウムの基準値は10Bq/kg(1kgは1Lに相当)です。

放射性セシウムの検出率は低かった

3月~4月の定時採水試料のうち、会津若松、郡山、広野町の3箇所で採取した試料からは放射性セシウムが検出されませんでした。一方、飯舘の調査地では59試料中3試料、伊達では59試料中4試料、二本松では56試料中2試料から1.0~5.9Bq/L(Cs-134とCs-137の合計値、以下同様)の放射性セシウムが検出されました。
5月~7月の定時採水試料については、飯舘では92試料中1試料、伊達では92試料中2試料、二本松では80試料中1試料から1.0~13.1Bq/Lで放射性セシウムが検出されました。 8月~10月の定時採水試料については、飯舘では83試料中3試料、伊達では92試料中3試料から1.0~6.8Bq/Lの放射性セシウムが検出されました。

放射能の正体は懸濁物質

降雨時試料については、伊達では84試料中12試料から1.1~48.5Bq/L、飯舘では84試料中12試料から1.1~47.3Bq/Lの放射性セシウムが検出されました。
放射性セシウムが検出された試料を濾過して、懸濁物質濃度と濾過後の放射性セシウム濃度を調べました。その結果、懸濁物質濃度が高い試料ほど放射性セシウム濃度が高く(図2)、また、大部分の試料(43試料中41試料)では濾過後には放射性セシウムは検出されませんでした。このことから、濾過前に検出された放射性セシウムは主に懸濁物質に由来するものであることが明らかになりました。

まとめ

この調査により森林から流れる渓流水とともに放射性セシウムが出てくる機会は限られることが明らかになりました。このことは、並行して行われた森林内の放射性物質の分布調査において、森林全体に蓄積している放射性物質の量が事故当年と翌年で大きく変わっていないことからも裏付けられています。

本研究は、農林水産省委託プロジェクト「森林から流出する水等に含まれる放射性物質の挙動の解明」(プロジェクト課題番号F1P06)による成果です。
図表1 235898-1.png
図表2 235898-2.png
図表3 235898-3.jpg
研究内容 http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2013/documents/p42-43.pdf
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