キクの黄花変異にはカロテノイド酸化開裂酵素遺伝子が関与する

タイトル キクの黄花変異にはカロテノイド酸化開裂酵素遺伝子が関与する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所
研究期間 2006~2012
研究担当者 能岡 智
大宮あけみ
間竜太郎
山溝千尋
柴田道夫
発行年度 2012
要約 キク花弁のカロテノイド量が上昇する突然変異には、カロテノイド酸化開裂酵素遺伝子(CmCCD4a)が関与している。変異様式には、CmCCD4a遺伝子がゲノムから欠失する場合と、遺伝子が存在しても発現が低下している場合の2パターンある。
キーワード キク、カロテノイド、カロテノイド酸化開裂酵素、花色変異
背景・ねらい カロテノイドの蓄積によりキク花弁は黄色を呈する。キクでは、黄花に対して白花が優性である。また、白花ギクは培養変異や枝変わり変異によって花弁が黄色化する。このため白花ギクにはカロテノイドの生成や蓄積を阻害する単一の優性因子が存在すると古くから推察されてきた。カロテノイド酸化開裂酵素遺伝子(CmCCD4a)は白花ギクの花弁でのみ発現し、同遺伝子の発現を抑制すると黄花になることから、花弁におけるカロテノイドの蓄積を制御する優性因子の有力な候補である。そこで花色が白から黄に変化した変異株においてCmCCD4aの発現とカロテノイド量の関係を解析し、黄花変異の起こる仕組みを明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. CmCCD4aは白花ギク「パラゴン」ゲノム内で少なくとも4ホモログから成る遺伝子ファミリーを形成しており、そのうちCmCCD4a-1およびCmCCD4a-2の発現が高い(表1)。桃花ギク「ピンクマーブル」においてもCmCCD4a-1およびCmCCD4a-2の発現が高い。赤紫花ギク「94-765」ではCmCCD4a-1はゲノムに存在せずCmCCD4a-2の発現が高い。
  2. 「94-765」の培養変異によって花弁のカロテノイド量が上昇した変異株では、CmCCD4a-2の発現が検出されない(図1)。この現象には、変異株ゲノムにCmCCD4a遺伝子は存在するが発現が見られない場合(#1)と遺伝子自体が欠失している場合(#2、3、4)の2つのパターンが存在する。
  3. 「ピンクマーブル」の枝変わり変異によって得られたマーブルシリーズの白系花弁および淡黄系花弁ではCmCCD4a-1およびCmCCD4a-2、またはCmCCD4a-2のみが発現している(図2)。黄系花弁ではCmCCD4a-1およびCmCCD4a-2が発現していない。黄花系のゲノムにはCmCCD4a-2は存在するが、CmCCD4a-1は欠失している。カロテノイドの分布様式から、白系花弁ではCmCCD4aがL1およびL2の両層で、淡黄系花弁ではL1層で発現していると推察される。
成果の活用面・留意点
  1. 黄花変異株を効率よく作出するためには、CmCCD4a-1あるいはCmCCD4a-2が発現していない宿主系統を選定することが望ましい。
  2. 花弁で発現しているCmCCD4aのホモログの数が少ない方が黄花変異が起こりやすいと推察されるが、複数の品種で確認する必要がある。
図表1 235988-1.png
図表2 235988-2.png
図表3 235988-3.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/flower/2012/141h0_01_13.html
カテゴリ きく 品種

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