弾力的な配水を可能とする調整施設の計画・設計支援手法

タイトル 弾力的な配水を可能とする調整施設の計画・設計支援手法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2009~2011
研究担当者 田中良和
樽屋啓之
内村 求
坂田 賢
友正達美
発行年度 2012
要約 農業用水路の計画・更新において、送配水システム内の経済的・効率的な水利用が可能となるよう、数値水理解析と最適化手法によって末端灌漑施設の需要変動に合わせて調整施設の位置や容量、およびポンプ特性・制御などを計画・設計支援することができる。
キーワード 調整施設、施設計画、送配水システム、需要主導型、需給バランス
背景・ねらい 調整施設(表1)は、様々な要因により変動する用水の需給量差を一時貯留することによって、計画的な送水操作と弾力的な配水管理を容易にする重要な水利施設である。しかし、各種の調整施設は別々の容量計算方法で個別に計画されるために満足のいく作動特性が得られず、送水に係る操作負担や管理損失を生じている地域がある。このため、送配水システム内の用水の需給バランスを均衡させて弾力的な配水を可能とし、末端灌漑施設と送配水施設とを有機的に結合させる調整施設の設計を支援する汎用的な手法を開発する。また、水理数値解析に施設計画の最適化手法を組み合わせた新たな手法開発を目指す。
成果の内容・特徴
  1. 必要な情報の入力手順(図1)は、1)施設情報として末端灌漑施設と送配水施設の施設構造の諸元、水理縦断図より得られる水理諸元、および末端灌漑施設における需要量の入力、次に2)最適化する候補となる調整施設の諸元について初期計画段階の仮定値の入力が必要である。ここで、末端灌漑施設における需要量や水位の一日の変動パターンは、用水量の調査や水管理の実態を考慮した上で決定し入力する。附帯するポンプの要求性能を求めたい場合、ポンプの構造・水理諸元の仮定値を入力する必要がある。
  2. 本手法は、ユーザーフレンドリーな入力画面によって、需要主導型の送配水システム全体(図2)において、さまざまな機能を有する調整施設の選定、容量の算出(図2a)、附帯するポンプの特性や運転時間(図2b)を出力することができる。
  3. 本手法の解法は、送配水システム内における用水の流れを数値解析する手法に、施設計画の最適化手法を新たに機能付加したものである。
  4. 数値水理解析は、末端灌漑施設の流量または水位を境界条件として、調整施設と送配水施設を加えた送配水システム全体の水理現象を数値解析する。水理現象は集中定数型モデルであり、通常の水管理を想定した緩やかな水理現象を対象としている。取り扱える水路形式は、開水路、パイプラインおよびこれらの複合水路であり、水路形態として網目状と樹枝状に対応している。
  5. 最適化手法は、供給量が需要量を満たす制約下で水管理損失(無効放流量)と運用管理費(ポンプ電気代)を最小化する解を得る遺伝的アルゴリズムを用いている。
  6. 調整施設として有効活用できる溜め池を、既存の複数の溜め池から選定することができる(図2c)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:用水の施設計画設計に携わる農業水利技術者。
  2. 普及予定地域:用水事業計画または更新で送水操作負担や管理損失が存在する地域。
  3. その他:農工研の技術指導等を通して、活用できる。
図表1 236121-1.png
図表2 236121-2.png
図表3 236121-3.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2012/420a0_01_65.html
カテゴリ 水管理

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