室間再現精度を高めた改良親水性ORAC法の開発と標準化

タイトル 室間再現精度を高めた改良親水性ORAC法の開発と標準化
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2008~2012
研究担当者 渡辺 純
石川祐子
沖 智之
日野明寛
安井明美
竹林 純
山崎光司
発行年度 2012
要約 改良親水性ORAC(酸素ラジカル吸収能)法は、室間共同試験に用いた全ての試料(抗酸化物質溶液、農産物抽出液)で分析法の妥当性の判断基準を満たした、信頼性の高い抗酸化能評価法である。
キーワード 抗酸化能評価、ORAC(Oxygen radical absorbance capacity)、酸素ラジカル吸収能、妥当性確認、室間共同試験
背景・ねらい 農産物・食品が様々な生体調節機能を有することが広く知られるようになり、その中でも抗酸化能については、多くの研究が行われている。しかし、現在用いられている抗酸化能評価には原理の異なる多種多様な手法が混在しているため、同一の基準で抗酸化能を比較することができない。これらの手法のうち、ORAC法は1)脂質過酸化連鎖反応に重要な役割を果たすペルオキシルラジカルに類似したラジカルを用いた中性付近のpHでの反応系を用いる2)そのため、生体成分も同一の基準で評価可能であり、測定結果の生体適合性が高い3) 蛍光プレートリーダーでの測定が可能で汎用性が高く、測定のコストが安価であるという優位性を有する。そこで、本研究ではORAC(酸素ラジカル吸収能)法の妥当性を確認し、農産物・食品の抗酸化能評価法の標準化を目指す。
成果の内容・特徴
  1. ORAC法の原法は、1993年 米国農務省と国立老化研究所の研究者らにより開発され、抗酸化能測定法として広く用いられているが、室間再現精度(RSDR)が低い(図)。
  2. 原法から大幅に逸脱しない範囲での改良(表)を加えて開発した改良ORAC法では、AOACの室間共同試験のハーモナイズドプロトコルに準じて実施した室間共同試験(配付試料:抗酸化物質溶液5種、農産物抽出液5種)の結果、すべての試料において分析法の妥当性判断の指標の一つである0.5<HorRat≤2を満たし、室間再現精度が改善される。そのため、本改良ORAC法は信頼性の高い測定法であると判断できる(図)。
  3. 本測定法の普及により、高抗酸化能品種の選抜、抗酸化能を高める栽培法の開発や、第三者認証を伴った農産物の抗酸化能の表示等を通じ、抗酸化能を指標とした農産物・食品の高付加価値化・ブランド化がはかられる。また、抗酸化物質摂取による健康維持・向上効果に関する疫学調査のための基礎データが蓄積可能となる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:大学、地方自治体、企業等で食品分析に携わる全ての研究者、技術者、事業者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国
  3. その他:広報普及を目的とした農林交流セミナーを2回開催し、100名近い応募者の中から、約50名が受講済み。大学、地方自治体、企業等からも問い合わせがある。2013年度中に、親水性ORAC(H-ORAC)法の標準作業手順書ならびにORAC値計算用テンプレートファイル(Microsoft Excel)を(独)農研機構 食品総合研究所ウエブサイト上に掲載し、ダウンロードを可能にする予定である。
  4. 測定に必要な蛍光プレートリーダーの要件等については、標準作業手順書に記載している。
図表1 236146-1.png
図表2 236146-2.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/main_results/2012/310a0_02_54.html
カテゴリ 高付加価値 コスト 評価法 品種

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