登熟中期の平均気温は酒米「山田錦」のタンパク質組成に影響する

タイトル 登熟中期の平均気温は酒米「山田錦」のタンパク質組成に影響する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2010~2012
研究担当者 芦田(吉田)かなえ
荒木悦子
船附稚子
藤本啓之
池上 勝
発行年度 2012
要約 酒米「山田錦」において、出穂後30日間の平均気温とタンパク質中のグルテリンの割合との間に有意な正の相関が、プロラミンの割合との間には有意な負の相関がそれぞれ認められる。タンパク質組成には、出穂後11~20日の登熟中期の平均気温が最も影響する。
キーワード 酒米、高温登熟、タンパク質組成、登熟中期
背景・ねらい 酒米「山田錦」は兵庫県の特産品であり、酒造りにおいて優れた蒸米の消化性及び風味を示す。しかし近年、高温登熟による蒸米消化性の低下が問題となっており、風味への影響も懸念されている。コメのタンパク質は酒の風味の元になる一方、多いと雑味をもたらす。また、タンパク質の種類によって、生じる呈味ペプチドや麹菌によるタンパク質の消化性が異なることが知られているが、酒米のタンパク質と登熟気温との関係は明らかでない。そこで、「山田錦」において、酒の風味に関わる窒素含有率およびタンパク質組成を解析し、登熟気温との関係を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 兵庫県立農林水産技術総合センターで2001~2010年に収穫された「山田錦」において、出穂後30日間の平均気温と精米の窒素含有率との間に有意な相関は認められない(相関係数:r=−0.25)。
  2. 出穂後30日間の平均気温と、易消化性タンパク質顆粒に蓄積されるグルテリンの割合との間には有意な正の相関が、難消化性タンパク質顆粒に蓄積されるプロラミンの割合との間には有意な負の相関が認められる(図1A、B)。易消化性タンパク質顆粒に蓄積されるグロブリンの割合との間には有意な相関は認められない(図1C)。
  3. 出穂後30日間を10日ごとに区切ると、タンパク質組成との相関が最も強い時期は、出穂後11~20日の登熟中期である(図2A)。この時期は、蒸米消化性に関わる糊化開始温度とも強い相関を示す(図2B)。
成果の活用面・留意点
  1. 登熟期の気温は、蒸米の消化性だけでなく酒の風味にも影響する可能性がある。
  2. 作期調節を行う場合、出穂後11~20日の高温を回避することが重要である。
  3. 得られたデータは兵庫県で開発中の山田錦最適作期予測システムに組み込まれる。
  4. 最適な登熟気温は、生育状況や玄米品質、蒸米の消化性等の調査試験の結果と合わせて考慮する必要がある。
図表1 236157-1.png
図表2 236157-2.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2012/112a0_06_06.html
カテゴリ 酒造好適米

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