タイトル |
高バイオマス量サトウキビを高能率に収穫できる小型ケーンハーベスター |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
研究期間 |
2007~2011 |
研究担当者 |
青木 循
深山大介
宮崎昌宏
市来秀之
八谷 満
吉永慶太
山田祐一
太田智彦
丸野影文
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発行年度 |
2012 |
要約 |
刈取ったサトウキビをチョッピングカッタで把持しながら掻込み裁断する機構を備える小型ケーンハーベスターである。エタノール原料利用に開発された茎数の多い高バイオマス量サトウキビを精度良く、かつ毎時7.1t収穫することができる。
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キーワード |
バイオマス、サトウキビ、高能率、収穫、小型
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背景・ねらい |
エタノール原料用の高バイオマス量サトウキビ栽培では、生産コストを低減するため、機械化による省力・低コスト化が求められている。特に労働時間の約4割を占める収穫作業は、高能率化によるコスト削減が必要であるが、高バイオマス量サトウキビは茎数が多く大型となるため、通常の収穫機で高能率に収穫することが難しい。 そこで、裁断処理性能が高く、高バイオマス量サトウキビを高能率に収穫できる小型ケーンハーベスターを開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 開発した小型ケーンハーベスター(以下、開発機)は、螺旋状の突起が付いた円筒式の分草・引起し部、2軸回転式(4枚刃)で跳ね上げ装置付きの刈取部、上下2軸回転式(3枚刃)の裁断部、スラットコンベヤ式の搬送部、風選式の選別部、網袋式(容量2m3)の収容部、履帯式(ゴムクローラ)の走行部で構成される乗用型1条用の収穫機である。非焼却状態で収穫するグリーン収穫方式の収穫機で、刈り取ったサトウキビを20~25cmの長さに切断し、網袋に収容してほ場端まで運ぶことができる。54kWのディーゼルエンジンを搭載しており、各部は全て油圧駆動である。収穫時の作業速度は概ね0.3~0.4m/sである(図1、表)。
- 刈取工程は、倒伏したサトウキビを分草し、株元をベースカッタで切断、跳ね上げ装置によりサトウキビを裁断部へ誘導して、チョッピングカッタで裁断する。株元で刈取られたサトウキビを裁断部のチョッピングカッタで把持して掻き込みながら裁断するため、茎数の多い高バイオマス量サトウキビでも滞留することなく刈取を行えることが特徴である。裁断されたサトウキビ原料茎は、搬送部のスラットコンベヤによって機体後方の選別部へ送られ、葉や土砂などの夾雑物を選別ファンにより除去した後、網袋へ収納される。
- 作業精度は、高バイオマス量サトウキビKY01-2044(原料茎重7,558kg/10a、原料茎数9,583本/10a)を作業速度0.31m/sで収穫した場合の収穫損失が1.3%と良好である(図2)。
- 開発機は、作業速度0.40m/sの条件において、処理量が毎時7.1tとなり、慣行機の1.6倍の高能率に収穫できる(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本機は、茎数が多く、大型の高バイオマス量サトウキビの収穫に活用される。対応する畝幅は1.2m以上、畝高さは20~25cmである。
- 作業性能は、サトウキビの倒伏状態に大きく影響される。また、サトウキビの倒伏方向に向い刈りする場合には作業性能が低下する。
- 高バイオマス量サトウキビの栽培が開始されれば本機は実用化できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2012/600b0_02_02.html
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カテゴリ |
機械化
コスト
さとうきび
収穫機
低コスト
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