冬季に大型クラゲの個体密度が低下する要因

タイトル 冬季に大型クラゲの個体密度が低下する要因
担当機関 (独)水産総合研究センター 日本海区水産研究所
研究期間 2009~2012
研究担当者 北島 聡
奥野 章
本多直人
井口直樹
渡邊達郎
加藤 修
発行年度 2013
要約 大型クラゲの分布を調査船調査と各種漁網への入網情報から調べたところ、その大量出現は表面水温が14℃以下になるとほぼ終了することが分かった。また、大型クラゲの拍動頻度と水温の関係を調べたところ、水温の低下とともに拍動頻度が低下することが分かった。冬季には水温が低下し大型クラゲの拍動頻度が低下することで、表面付近から沈降し、やがて死滅していると考えられる。
背景・ねらい 大型クラゲ(エチゼンクラゲ)は、夏から秋にかけて黄海・東シナ海北部から日本海へと輸送されるが、冬季には個体密度が急速に低下する。この冬季の個体密度低下のメカニズムを把握することは、本種による漁業被害の軽減や、操業中止期間の決定に対して効果的と考えられる。本研究では、調査船調査、漁網への入網情報と、スキューバダイビングで観察された大型クラゲの拍動頻度の3つのデータを用いて、冬季の個体密度低下の要因解明を試みた。
成果の内容・特徴 2006年・2007年の9月~12月に日本海および三陸沖で調査船調査を実施したところ、大型クラゲの分布域は1個体の例外(12.1℃)を除き、表面水温14.1℃以上に限られており、大型クラゲの分布が低水温によって制限されていることが示唆された(図1)。そこで、漁業情報サービスセンターが集計・提供している大型クラゲ出現情報と人工衛星(AVHRR/NOAA)で得た表面水温を比較することで、調査船調査よりもさらに範囲・期間を拡張して出現状況を調べたところ、調査船調査と同様、表面水温が概ね14℃を下回ると出現情報が激減していた。したがって、大型クラゲの大量出現は冬季に水温が低下することで終了していることが明らかとなった(図2)。ただし、底引網からの入網情報は、定置網や旋網に比べ遅い時期まで続いていることから、表面近傍から居なくなっても、海域深部には大型クラゲが残存していると考えられる。

大型クラゲの比重は海水より大きいため、拍動しなければ次第に沈降する。スキューバダイビングで観察された大型クラゲの拍動頻度と水温を比較したところ、両者には有意な正の相関関係が認められ、水温が低下すると大型クラゲの拍動頻度も減少することが分かった(図3)。したがって、大型クラゲは冬季、低水温になるにつれて拍動数が低下し、表面近傍から沈降していると考えられる。
成果の活用面・留意点 本研究で得られた情報を日本海海況予測システム(JADE)上での粒子輸送実験に組み入れることで、大型クラゲの大量出現が終了する時期の予測手法の開発につなげることができる。
図表1 236288-1.jpg
図表2 236288-2.jpg
図表3 236288-3.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4647&YEAR=2013
カテゴリ 輸送

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