タイトル | 太平洋クロマグロの産卵場推定 |
---|---|
担当機関 | (独)水産総合研究センター 国際水産資源研究所 |
研究期間 | 2011~2015 |
研究担当者 |
阿部寧 鈴木伸明 山崎いづみ 稲掛伝三 瀬川恭平 岡崎誠 増島雅親 森本晴之 井口直樹 渡邊達郎 奥野章 青沼佳方 亀田卓彦 |
発行年度 | 2013 |
要約 | 太平洋クロマグロの産卵場に関する最新情報を収集するため、2011年から3年計画で、南西諸島周辺及び日本海で大規模仔魚分布調査を実施した。得られた仔魚の耳石から日齢を査定し、海況予測モデルを用いたシミュレーションにより、採集された仔魚が産卵された海域を推定した。 |
背景・ねらい | 我が国は太平洋クロマグロの最大の漁業国かつ消費国として、その持続的利用に大きな責任を有する。産卵場の把握は産卵親魚の適切な管理のためには不可欠であり、1980年代の調査で南西諸島周辺と日本海が主産卵場であることが示された。しかし、詳細な時空間的情報や、産卵場形成要因に関する情報が欠如していること、調査後20余年が経過して漁業や海洋環境に大きな変化がみられることから、産卵場に関する最新の情報が必要となった。 本調査では、関係6県(石川、鳥取、島根、山口、鹿児島、沖縄)及び水産大学校と連携して、2011年から3年間の大規模クロマグロ仔魚分布調査を実施し、仔魚分布・日齢および海況予測モデル(FRA-ROMS、JADE)を用いて、採集された仔魚が産卵された時期・海域を推定した。 |
成果の内容・特徴 | 1.南西諸島周辺では5月上旬~7月下旬に調査を実施し、合計364尾(暫定)の仔魚を採集した。年による仔魚採集位置の偏りはあるものの、共通して八重山諸島、宮古島周辺の中規模渦流縁辺域、および黒潮流域が高い確率で産卵場と推定された。 2.日本海では6月下旬~9月上旬に調査を実施し、合計59尾(暫定)の仔魚を採集した。推定された産卵場は隠岐諸島~能登半島が中心であり、仔魚の輸送は同海域での中規模渦流による滞留と対馬暖流による流下で特徴づけられた。 3.太平洋クロマグロは環境が適合すれば様々な海域で産卵する可能性があるが、上記の産卵場が中心的であり、中規模渦流の存在で特徴づけられる可能性が示された。 |
成果の活用面・留意点 | ・2013年の産卵場は現在分析中。今年度末を目処に3年分を集約して公表する予定。これらの成果は、太平洋クロマグロ産卵場の適切な管理手法の確立に寄与する。 ・組織学的には、日本海では6月中旬に成熟、産卵が始まると考えられるが、仔魚は7月下旬、表面水温が主に25℃に達してから採集される。日本海では仔魚採集数の年変動が激しく、水温上昇等の環境変動と仔魚生残との関連が注目される。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4508&YEAR=2013 |
カテゴリ | 輸送 |