2時期の標本情報を活用した安定ハビタットの抽出

タイトル 2時期の標本情報を活用した安定ハビタットの抽出
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間
研究担当者 大澤剛士
渡辺恭平
池田浩明
山本勝利
発行年度 2013
要約 過去に採集された昆虫標本と比較的最近採集された標本を利用し、生物にとって好適な環境が安定的に存在している場所を明らかにする手法を開発しました。
背景・ねらい 博物館等では標本等の自然史資料を収集・保管しています。自然史資料は、種が存在していたことを示す証拠になりますが、継続的に同じ場所で採集が行われることはまれです。そこで、異なる時期に採集された標本を集約し、過去も現在も採集された場所、つまりその種にとって好適な環境が安定的に存在している場所を抽出する手法を開発しました。
成果の内容・特徴
  1. 標本が存在しないことは、その場所にその種が生息していなかったことを示すものではありません。しかし、標本が採取された場所には、過去に確実にその種が「いた」ことは明らかです。そこで、過去と現在という別の時期に採集された標本の情報から、同じ種が「過去にもいて、現在もいる」場所を抽出しました(図1)。今回は例として、昆虫の中でも環境指標性が高いと言われているゴミムシ類の標本情報を対象としました。
  2. 抽出された場所と、それ以外の場所を比較し、抽出された場所で卓越している地形条件を検討しました。地形条件は土地利用等と異なり、長期間にわたって安定的な物理環境条件です。
  3. その結果、抽出された場所は河川密度が高く、地表面が平坦であることが示されました(図2)。この地形条件は氾濫原に多くみられる条件で、対象となったゴミムシ類の生態特性から見て妥当なものでした。すなわち、このような地形条件がある場所は、ゴミムシ類にとって安定的なハビタットである可能性が示唆されました。
  4. 長期間にわたるモニタリング調査が行われている場所は決して多くありませんが、機会的に採集された標本コレクションは多数散在しています。今回の手法を利用することにより、そのような限られた自然史資料から対象生物にとって重要な場所をある程度明らかにすることができます。環境アセスメントや自然再生の候補地等を検討する際に活用できる可能性があります。
成果の活用面・留意点 本研究の一部は環境省環境研究総合推進費 「アジア規模での生物多様性観測・評価・予測に関する総合的研究(S-9)」の成果です。
図表1 236409-1.jpg
図表2 236409-2.jpg
研究内容 http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result30/result30_84.html
カテゴリ モニタリング

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