リンゴのカラムナー性に極めて強く連鎖するDNAマーカー

タイトル リンゴのカラムナー性に極めて強く連鎖するDNAマーカー
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2009~2013
研究担当者 森谷茂樹
岡田和馬
土師岳
山本俊哉
阿部和幸
発行年度 2013
要約 リンゴの公開ゲノム配列を用いて開発したSSRマーカーMdo.chr10.12とMdo.chr10.14は、カラムナー性の原因遺伝子Co と0cMの遺伝的距離で連鎖し、高精度な早期選抜マーカーとして利用できる。
キーワード カラムナー性、SSRマーカー、リンゴゲノム、DNAマーカー選抜
背景・ねらい リンゴのカラムナー性はそのコンパクトな樹形から、剪定を簡略化して省力栽培に利用できる素材として期待されているが、カラムナー型の樹形を示す生食用の品種は育成されていない。カラムナー性はリンゴ第10連鎖群に座乗する単一の優性遺伝子Co により制御されており、これまでにCo と連鎖するDNAマーカーが開発されている。しかし、これらのDNAマーカーはCo との間に一定の遺伝的距離があり、マーカー選抜の際に誤選抜が生じるという問題がある。そこで、通常型とカラムナー型の樹形を示すリンゴとを交雑して得られた31交雑組合せのF1集団の1000個体を用いて、Coと極めて強く連鎖するDNAマーカーを開発する。
成果の内容・特徴
  1. Co の最も近傍で組換えを起こしている3個体におけるCo 近傍のグラフ遺伝子型から、Co が座乗している領域はSSRマーカーMdo.chr10.11とMdo.chr10.15の間と判断される(図1)。これらのSSRマーカーは、リンゴ品種「Golden Delicious」の公開ゲノム配列の第10染色体の18766kbpと18961kbpに位置することから、Co が座乗する領域の物理距離は195kbpと推定される。
  2. 公開ゲノム配列の第10染色体から開発した22種類の新規SSRマーカーを連鎖解析した結果、SSRマーカーMdo.chr10.12とMdo.chr10.13とMdo.chr10.14はCo との遺伝的距離が0cMであり、Co と極めて強く連鎖している(図1)。
  3. SSRマーカーMdo.chr10.12とMdo.chr10.14を用いると、Co と相引に連鎖する対立遺伝子とその他の対立遺伝子とを容易に識別することが可能であるので、これらのSSRマーカーは交雑実生集団を早期選抜するマーカーとして利用できる(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. SSRマーカーMdo.chr10.13を用いると、「Delicious」と「Jonathan」において、Co と相引に連鎖する対立遺伝子123bpと同じ増幅長の対立遺伝子が検出されるので、早期選抜マーカーとしての利用は困難である。
  2. カラムナー性の起源である「Wijcik」は通常型の品種「McIntosh」の枝変わり品種であるので、SSRマーカーを用いた解析では両品種は同じ対立遺伝子型を示す。このため、「McIntosh」の後代を通常型の交雑親とする交雑実生集団のマーカー選抜は困難な場合がある。
  3. SSRマーカーの解析と遺伝子型の判定には、DNAシーケンサーを利用する必要がある。
図表1 236480-1.jpg
図表2 236480-2.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2013/fruit13_s06.html
カテゴリ DNAマーカー 品種 りんご

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