飼料二毛作におけるトウモロコシの簡易耕播種法

タイトル 飼料二毛作におけるトウモロコシの簡易耕播種法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2011~2013
研究担当者 森田聡一郎
小林良次
浦川修司
菅野勉
発行年度 2013
要約 冬作ライムギ後の二毛作トウモロコシの播種ではディスク耕と不耕起播種機を組み合わせた簡易耕播種により安定した苗立率や乾物収量が得られ、耕起播種と比較して燃料消費量、作業時間の大幅な低減と生産コストの1割前後の低減が可能となる。
キーワード 省力化、トウモロコシ、播種費用、燃費、不耕起播種機
背景・ねらい 飼料二毛作では作物の切り替え時期に、各種作業が連続して繁忙期が発生し易い。特に関東北部などの二毛作北限地帯では冬作収穫と夏作播種が春期に重なり作業集中が著しい。この問題を解決する方策として、不耕起播種機を活用したトウモロコシ播種の省力化と迅速化が考えられる。しかしこれまでの知見から、冬作の収穫直後の圃場では収穫作業に伴うトラクタ踏圧による土壌物理性の悪化(締め固め)や、冬作の残稈・残根の影響により不耕起播種したトウモロコシの苗立率が低下し、そのため低収となることが判明している。そこで本研究では、不耕起播種機と簡便な耕うん方式であるディスク耕を組み合わせることで不耕起播種と比べ苗立率や収量を改善し、また耕起播種と比較して燃料消費量、作業時間を大幅に低減できるトウモロコシの簡易耕播種法を開発することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 冬作ライムギ収穫跡地にディスクによる簡易耕と不耕起播種機を組み合わせたトウモロコシの簡易耕播種(図1)を導入することで、耕起播種と比較して反転耕、撹拌耕および鎮圧の3工程を省略した播種作業を行うことができる(表1)。
  2. 簡易耕を行うことで、不耕起播種の場合に不安定であったトウモロコシの苗立率は大幅に改善できる(図2)。また簡易耕播種の乾物収量は不耕起播種と比べて向上し、耕起播種の場合と同程度を確保することができる(図3)。
  3. 簡易耕播種では、作業工程のうち特に燃料消費および作業時間が大きい反転耕および撹拌耕を省略することで耕起播種より燃料消費を約75 %、作業時間を60 %削減することが可能である(表1)。
  4. 場内実証試験により得られた乾物収量、燃料消費および作業時間、資材費と機械償却費等のデータから作付面積を40 haと想定した場合の播種費用を算出し比較したところ、簡易耕播種ではトウモロコシ乾物1kg当たり16.5 円となり耕起播種の19.0 円より2.5 円(13 %)低減させることが可能であり(表1)、収穫作業も含めたトウモロコシ生産全体の比較でも約9%低い。
  5. 以上の結果から簡易耕播種は耕起播種と比較して費用面での優位性を保った上で、作業に要する時間を大幅に削減することが可能な技術であり、トウモロコシの低コスト生産および繁忙期解消に有効である。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:コントラクターおよび大規模生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:都府県における飼料二毛作地帯。特に関東北部などの二毛作の北限地帯における飼料用麦類の作付地域(約1,100 ha)。
  3. その他:本内容は簡易耕を導入する際の導入効果の目安として利用できる。播種費用をさらに低減するためには除草剤の使用法を検討する必要がある。
図表1 236526-1.jpg
図表2 236526-2.jpg
図表3 236526-3.jpg
図表4 236526-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2013/13_012.html
カテゴリ 病害虫 コスト コントラクター 省力化 除草剤 飼料用作物 低コスト とうもろこし 二毛作 播種 ライ麦

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