農地土壌の放射能分布を推定する空間ガンマ線測定技術

タイトル 農地土壌の放射能分布を推定する空間ガンマ線測定技術
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2012~2013
研究担当者 石田聡
吉本周平
白旗克志
土原健雄
奥島修二
小倉力
今泉眞之
発行年度 2013
要約 NaI(Tl)シンチレーション検出器、スペクトル分析器、高度計、GPS受信機等を使用した農地土壌を対象としたガンマ線測定技術である。土壌から放出される核種毎のガンマ線強度を、非破壊かつ面的に短時間で測定することができる。
キーワード 農地土壌、放射性セシウム、モニタリング、除染
背景・ねらい 農地土壌から放射性セシウムを除去する場合、除染前後の放射性セシウムの面的分布状況を測定・比較して効果を検証する必要がある。これまでは土壌試料をサンプリングし、実験室で乾燥・調整した上で遮蔽されたガンマ線検出器で放射能を測定していたが、この方法は分析に時間と費用を要するためサンプル数が限られ、圃場内の放射能の偏りや、除染が不十分な箇所の把握が困難であった。本技術は野外で核種毎のガンマ線強度を測定する装置により、農地およびその周辺を移動させながら連続測定することで、土壌の放射性セシウムの面的分布を把握する手法である。
成果の内容・特徴
  1. 測定システムは3インチNaI(Tl)シンチレーション検出器、MCA(マルチチャンネルアナライザ)ボード、レーザー高度計、GPS受信機、データ収録用パソコンから構成され、任意の測定時間間隔でガンマ線スペクトル強度、位置情報、高度情報を記録する(図1)。システム全体の重量は5kg程度である。電源はパソコンから供給され4時間以上の連続測定が可能である。
  2. システムは気球、無人ヘリ、ラジコン移動車等の移動体に搭載することを前提に設計されており、遠隔操作によって農地のガンマ線強度を迅速かつ面的に測定することができる(図2)。移動体は現場状況、測定高度(低いほど高解像度)を勘案して選定する。ラジコン移動車を使用した場合、10aあたりの測定時間は約20分である。
  3. .測定によって得られたガンマ線スペクトルはソフトウェアによって自動記録された後、核種弁別され(図3上段)、バックグラウンド値除去、核種毎のピーク面積算出、高度補正等によって土壌からのガンマ線強度に換算される。また、求められた放射性セシウムの積算カウント数と、同じ地点で測定した空間線量率との間には高い相関が見られ(図3下段)、近似式を用いてカウント数を空間線量率に換算できる。
  4. 福島県飯舘村の未耕起水田で実施された除染試験後の、測定時間間隔10秒、高度5cm、移動速度約0.5m/sの気球による測定では、削り取り除染を行った試験区、水による土壌攪拌(代かき)除染を行った試験区において、ガンマ線空間線量率が周辺の未処理の農地に比べて面的に小さくなっていることが確認できる(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:農地除染を行う事業者。
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:汚染状況重点調査地域(104市町村)。
  3. その他:測定システム(図1)は2014年度より市販を予定。ガンマ線のバックグラウンド値(農地土壌以外から放出されるガンマ線)を除去するため、予め調査地区周辺の水面上等でバックグラウンド測定を行う必要がある。放射性物質のフォールアウト後、耕起等によって放射性物質が土壌表面から深部に拡散している圃場では、ガンマ線強度と土壌中の放射性物質濃度の関係が異なるので地区ごとに換算式を求める必要がある。
図表1 236602-1.jpg
図表2 236602-2.jpg
図表3 236602-3.jpg
図表4 236602-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2013/13_075.html
カテゴリ 遠隔操作 乾燥 GPS 自動記録 水田 測定技術 モニタリング

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