タイトル |
高圧細霧冷房による温室の高温抑制効果と換気特性 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 |
研究期間 |
2011~2013 |
研究担当者 |
石井雅久
奥島里美
森山英樹
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発行年度 |
2013 |
要約 |
高圧細霧冷房は噴霧を開始すると温室内の気温は速やかに低下する一方、相対湿度は急激に増加するので、換気により湿度を下げる必要がある。細霧冷房時に温室内の気温が外気温よりも低くなると、温度差換気は抑制される。
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キーワード |
環境制御、細霧冷房、トレーサガス法、気温、相対湿度
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背景・ねらい |
温暖化傾向の中で、わが国では数年間隔で記録的な猛暑となっていることから、施設園芸では高温抑制のために細霧冷房が着目されている。細霧冷房は水を噴霧し、気化熱により温室内の気温を冷却する技術であるが、ヒートポンプなどの機械式冷房と比べてコストが低く、理論的には室内の気温を外気の湿球温度まで下げることができる。しかし、温室内の相対湿度が100%に到達すると水は気化できなくなるので換気により湿度を下げる必要がある。そこで、わが国で一般的な両屋根型の自然換気温室で高圧細霧冷房を行ったときの換気量をトレーサガス法(定常濃度法)により連続測定し、温室内の気温、湿度と換気量の関係を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 自然換気のみの対照区と自然換気と細霧冷房を組み合わせた細霧冷房区の高温抑制の効果を比較する。細霧冷房区には高さ2.5mで1m間隔に設置した高圧噴霧ノズル(平均粒径5μm、噴霧量0.95 L m-2 h-1)に高圧ポンプ(圧力7.0 MPa)で水を供給し噴霧する。噴霧制御は1分間隔で温室内の気温と湿球温度の差を計測し、1°C以上で噴霧、0.5°C以下で噴霧停止の条件とする(図1)。
- 対照区においては、天窓のみ開放から天窓と側窓を開放に換気条件を変えると、換気量が2.8m3 m-2 min-1から4.4 m3 m-2 min-1に増加する。温室内の気温が下がり、内外気温差の平均は3.4°Cから2.4°Cまで小さくなる(図2上、下)。
- 細霧冷房区においては、天窓のみ開放から天窓と側窓を開放に換気条件を変えても、温室内の気温は常に外気温よりも低くなり、内外気温差の平均は約-3°Cで推移する(図2上)。
- 天窓のみを開放では対照区の平均換気量は2.8m3 m-2 min-1、細霧冷房区は2.0 m3 m-2 min-1、天窓と側窓を開放では対照区の平均換気量は4.4m3 m-2 min-1、細霧冷房区は2.6m3 m-2 min-1となり、細霧冷房時は自然換気のみの条件と比べて換気量が減少する(図2下)。
- 霧の粒径が小さい高圧細霧冷房は噴霧を開始すると温室内の気温は速やかに低下、相対湿度は増加し、噴霧を停止すると気温は速やかに上昇、相対湿度は減少するため、細霧冷房時は気温、湿度が周期変動する(図2上、中)。
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成果の活用面・留意点 |
- 高圧細霧冷房は夏期快晴日の温室内の気温を外気よりも低く制御できるが、気温、湿度が周期変動するので、環境の変動幅を小さくするための制御手法の改良が必要である。
- 高圧細霧冷房は霧が細かく、強風時は天窓や側窓から霧の一部が流出するが、今後は温室形状、換気窓の開閉方法、ノズルの設置位置、噴霧量、制御法等の検討を要する。
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図表1 |
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図表2 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2013/nkk13_s01.html
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カテゴリ |
環境制御
コスト
施設園芸
ヒートポンプ
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