日本短角種に出産、哺育される黒毛和種子牛は発育が良い

タイトル 日本短角種に出産、哺育される黒毛和種子牛は発育が良い
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2009~2013
研究担当者 山口学
池田堅太郎
竹之内直樹
東山雅一
渡邊彰
発行年度 2013
要約 放牧条件下において胚移植により日本短角種から生まれ、親子放牧する黒毛和種子牛は、日本短角種母牛の泌乳能力が優れることにより、哺育期における体重増加ならび体型の発育・発達が加速する。
キーワード 日本短角種、黒毛和種、胚移植(ET)、親子放牧
背景・ねらい 市場価値の高い黒毛和種(黒毛牛)の子牛生産を胚移植(ET)により日本短角種(短角牛)の夏山冬里方式に融合させることは、短角牛生産地域の収益性向上と経営の安定に有効な手段と考えられる。また、短角牛の特徴である泌乳能力の高さにより、短角母牛と親子放牧する黒毛ET子牛の発育が促進されることが期待される。一方、放牧を主体として生産、育成される黒毛子牛は、牛舎飼養の子牛より発育が遅れることが指摘されている。そこで、子育て能力の高い短角母牛にETを行い、そこから生産される黒毛子牛を親子放牧し、哺育期における生育への効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 5~6月の放牧飼養下で短角母牛から出生する黒毛ET雄子牛(放牧・短角母牛区)は親子放牧し、補助飼料を無給与とする。牛舎において黒毛母牛と飼養する黒毛雄子牛(舎飼・黒毛母牛区)は自家産ロールサイレージを飽食とし、補助飼料を給与する。
  2. 放牧・短角母牛区の黒毛ET子牛の1ヵ月ごとの日増体量は、舎飼・黒毛母牛区の黒毛子牛や和牛登録協会による標準発育曲線に比べて、生時から1ヵ月齢の1ヵ月間において著しく高く、この傾向は4ヵ月齢まで継続する(図1)。
  3. 生時体重は差が認められないが、放牧・短角母牛区の黒毛ET子牛の体重は1ヵ月齢から3ヵ月齢まで優れている(図2)。
  4. 胸囲は、放牧・短角母牛区の黒毛ET子牛が1ヵ月齢以降から舎飼・黒毛母牛区の黒毛子牛や標準発育曲線に比べて大きくなり、月齢とともに差が広がる(図3-(a))。胸深(図3-(b))は1ヵ月齢において差が認められないが、2ヵ月齢以降から優れている。体高(図3-(c))は放牧・短角母牛区が高く推移する。
成果の活用面・留意点
  1. 放牧育成技術により、飼料代や飼養管理労働を節減しながら黒毛子牛の低コスト生産が可能となる。
  2. 短角繁殖経営における黒毛ET子牛導入の経営評価は、小梨ら(岩手農研セ研報3,p109-114,2003)の報告を参考にする。
  3. 放牧・短角母牛区の黒毛ET子牛に、下痢など過多な飲乳量から心配される体調不良は認められない。
図表1 236672-1.jpg
図表2 236672-2.jpg
図表3 236672-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2013/tarc13_s10.html
カテゴリ 経営管理 飼育技術 低コスト 繁殖性改善

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