卵の発生規模と幼生加入量の予測

タイトル 卵の発生規模と幼生加入量の予測
担当機関 (独)水産総合研究センター 水産工学研究所
研究期間
研究担当者
発行年度 2014
要約  沿岸域数値モデリングを活用し、観測が困難な水産生物の、産卵による卵の発生からふ化・幼稚仔魚に至るまでの発生初期における生活史の解明を試みた。粒子追跡法を用いた結果は、現場海域で採取されたマダイ及びチョウセンハマグリ浮遊卵稚仔サンプリング結果と精緻に比較し、浮遊卵稚仔の出身地別の分類や、各産卵場における産卵数推定、さらには幼生加入ポテンシャルの空間分布推定が可能となった。
背景・ねらい  水産資源の管理強化を目的として、水産生物の生態プロセス(生活史)の詳細な解明が求められている。水産生物が利用する生息環境は、卵の発生から幼稚仔魚、成魚の回遊に至るまで、種ごとに、成長段階ごとに変化するため、生態プロセス解明のためには時間的・空間的な連続性を踏まえた生息環境の把握が求められる。有用な水産生物であれば先行研究も多くあるが、養殖に関連する室内実験を除くと、自然界における産卵による卵の発生からふ化・幼稚仔魚に至るまでの発生初期の生態プロセスは、比較的アクセスが容易な沿岸部であってもその観測の困難さから不明な点も多い。 

 水産生物発生初期の生態プロセス解明を目的として、観測の困難さを補うための有効なツールとして、近年急速な高精度化が進む沿岸数値モデリングを活用する方法が挙げられる。海洋における数値モデリングは、外洋の観測データの充実や、データ同化技術により飛躍的な進歩を遂げており、外洋域から陸棚縁辺までの海洋循環はより現実的に表現可能となった。一方沿岸の数値モデリングは、その検証となる観測データの蓄積が少ないことも起因して未だ発展途上にあるが、上記の外洋モデルを境界条件とする沿岸域モデルの高解像度化が進められている。この「高解像度沿岸域モデル」を利用し、観測が困難な水産生物種の卵の発生からふ化・幼稚仔に至るまでの発生初期の生態プロセスの解明を試みた。
成果の内容・特徴  現場海域で採取されたマダイ浮遊卵、及びチョウセンハマグリ浮遊幼生サンプリング結果と、数値モデルの結果を精緻に比較し、現場海域で採取された卵稚仔の出身地別に分類することが可能となった。また産卵場所毎に異なる産卵規模を推定することが可能となり、サンプリング結果に最適な浮遊卵稚仔の空間分布を、観測点以外でも定量的に予測可能となった。
成果の活用面・留意点  本成果によって、マダイ及びチョウセンハマグリの卵発生から幼生の浮遊期までの空間分布が定量的に推定可能となった。他の水産生物種であっても、初期生態の知見をモデル化することによって比較的容易に適用可能である。また浮遊幼生のその後の着底には、着底場所の環境(波、流れ、水質、底質や藻場の有無等)評価が求められ、漁場環境整備、藻場造成などへの展開が期待される。一方、本成果では解明できない産卵場の存在も示唆されており、産卵場推定法のさらなる検討が必要である。
図表1 236859-1.jpg
図表2 236859-2.jpg
図表3 236859-3.jpg
図表4 236859-4.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4734&YEAR=2014
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