タイトル |
かいよう病に強く豊産性のレモン新品種「璃の香」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 |
1991~2014 |
研究担当者 |
吉岡照高
吉田俊雄
根角博久
太田 智
喜多正幸
國賀 武
野々村睦子
中嶋直子
濱田宏子
瀧下文孝
村瀬昭治
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発行年度 |
2014 |
要約 |
「璃の香」は、露地栽培でかいよう病の発生が少なく、豊産性のレモン新品種である。大果で、果肉歩合が高く、無核果生産も可能で、加工用カンキツとして利用が期待できる。
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キーワード |
レモン、新品種、かいよう病、豊産性、加工用
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背景・ねらい |
安全・安心を求める消費者のニーズが高まり、国産レモンの生産量が拡大しているが、一般的にレモンはかいよう病に弱いため露地栽培適地は非常に限られる。そこで、レモン以外のかいよう病抵抗性品種との交雑により、かいよう病に抵抗性で栽培性に優れ、加工適性があり、新たな需要創出や生産可能地域の拡大が期待できる新規のレモン品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 1991年に農林水産省果樹試験場(現 農研機構果樹研究所カンキツ研究興津拠点)において「リスボン」レモンにヒュウガナツを交雑し、得られた交雑実生から選抜した。2008年よりカンキツ第10回系統適応性・特性検定試験にカンキツ興津66号として供試し、2013年8月の平成25年度果樹系統適応性試験成績検討会(常緑果樹)において新品種候補とした。2013年12月7日に品種登録出願し、2015年3月20日に「璃の香」として品種登録された(第24081号)。
- 樹勢は強い。枝梢の発生密度はやや粗である。とげの発生は少なく、長さは短い。また、着花数は多く、高接ぎ2年目から多くの着果が可能で、高接ぎ初期の収量性は極めて高く、隔年結果性は低い。着色の進行程度と果実品質から11月下旬頃から成熟を迎え、「リスボン」レモン、「マイヤーレモン」より早いと考えられる(表1)。露地栽培でのかいよう病の発生は少ない(図1)。
- 果実重は200g程度で、果皮は緑黄~橙黄で、果面は滑らかである。剥皮性は中~やや難で「リスボン」レモンより優れ、手で剥くこともできる。果皮の厚さは3.0mmと「マイヤーレモン」、「リスボン」レモンより薄い。香りは強くないが、特有のレモン香がある。果肉歩合は79%と高い。11月20日の調査で果汁の糖度は9.2%で、クエン酸含量は5.6%程度と、「リスボン」レモンと比べて酸味が少ない。完全種子は「リスボン」レモンや「マイヤーレモン」に比べ少なく、無核果も含まれる。本品種は交雑品種であり、果実の形等が一般的なレモンとは異なる(図2、表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:カンキツ生産者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:神奈川、三重、和歌山、広島、香川、長崎、宮崎、鹿児島の各県で有望と評価されており、これらの産地での普及が見込まれる。 (許諾苗木生産業者数:8県、33業者)
- その他:露地栽培においてかいよう病の発生が少なく、樹体の耐寒性についての問題は認められず栽培適地は広い。ただし、寒害によって果皮障害の発生のおそれがあるので、収穫が遅れないようにする。また、結実性が良いため、連年の過度の着果負担による樹勢の低下を引き起こさないよう注意する。苗木の販売は2015年秋から開始される予定である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2014/14_033.html
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カテゴリ |
加工
加工適性
新品種
耐寒性
高接ぎ
抵抗性
抵抗性品種
苗木生産
日向夏
品種
レモン
その他のかんきつ
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