飼養環境の影響を把握するための標準乳タンパク質率と標準乳脂率

タイトル 飼養環境の影響を把握するための標準乳タンパク質率と標準乳脂率
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2011~2014
研究担当者 佐々木修
西浦明子
武田尚人
佐藤正寛
発行年度 2014
要約 標準乳タンパク質率と標準乳脂率は、測定した乳タンパク質率と乳脂率から地域、分娩月、産次、乳期の影響を補正した、飼養管理に用いる指標である。これらの推移をみることで飼料摂取量の低下など、飼養環境の影響を把握し、対策を講じることができる。
キーワード 乳用牛、標準乳タンパク質率、標準乳脂率、飼養管理、牛群検定
背景・ねらい 現在、乳用牛群の飼養管理の変化を把握するための指標として標準乳量があるが、乳用牛では、エネルギー摂取量の不足により乳タンパク質率が、粗飼料摂取量の不足により乳脂率が低下することが知られていることから、地域、分娩月、産次、乳期といった環境の影響を補正した標準乳タンパク質と標準乳脂率の算出法を開発し、飼養管理の状況をより詳細に把握できるようにする。
成果の内容・特徴
  1. 地域を北海道、東北、関東・北陸・中部・中国、近畿・四国・九州の4つに、分娩月を1月から12月まで月ごとに、産次を初産、2産、3産と4産、5産と6産の4つに分ける。これらを組合せた192のグループごとに、乳タンパク質率と乳脂率への地域、分娩月、産次、乳期の影響を補正するための泌乳曲線を作成し(式)、環境の影響を補正した標準乳タンパク質率と標準乳脂率を求める。
  2. 乳タンパク質率と乳脂率は、冬に高く夏に低い周期的な変化をしており、地域による違いがある(図1)。
  3. 標準乳タンパク質率と標準乳脂率は、環境効果を補正することで、季節変動や地域間差が小さくなる(図2)。
  4. 2010年8月の平均気温は、2008年と2009年に比べて、特に北海道と東北で高く(3.6~3.8°C)猛暑であった。2010年夏期の標準乳タンパク質率と標準乳脂率の低下から、例年よりも7月と8月にエネルギー摂取量の低下が大きく、粗飼料摂取量の低下が5~9月まで続いていたことが示唆される。また、猛暑の影響が北海道と東北で大きかったことが推察される。
  5. 標準乳タンパク質と標準乳脂率の年次変化をみることで、猛暑などの特異的な環境や、餌を含む飼養管理を変更したときの影響を把握できる。これによって、早い段階で対策を講じることが可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:(一社)家畜改良事業団
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:2014年10月現在、全国の牛群検定参加農家8,741戸(全国農家の48.8%)、および検定牛540,695頭(全国経産牛の60.5%)
  3. その他:標準乳タンパク質率と標準乳脂率は、標準乳量と同様に、家畜改良事業団から牛群検定参加農家に示される予定である。農家は、餌、飼養管理方法などを変えたときの影響の確認、および季節による生産量の変化が、例年と異なるかの確認など、飼養管理の状況把握に利用できる。
図表1 237085-1.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2014/14_024.html
カテゴリ 季節変動 飼育技術

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