β-クリプトキサンチンはマウスの非アルコール性脂肪肝炎の炎症を抑制する

タイトル β-クリプトキサンチンはマウスの非アルコール性脂肪肝炎の炎症を抑制する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2010~2014
研究担当者 小堀真珠子
杉浦実
小川一紀
太田嗣人
発行年度 2014
要約 β-クリプトキサンチンはマウスに高コレステロール・高脂肪食で誘導される非アルコール性脂肪肝炎を改善する。遺伝子発現解析の結果などから、特に炎症を抑制する。
キーワード β-クリプトキサンチン、非アルコール性脂肪肝炎、DNAマイクロアレイ、炎症、マクロファージ
背景・ねらい 疫学研究の結果は血中のβ-クリプトキサンチン濃度の高いヒトで生活習慣病に関連する肝障害やインスリン抵抗性のリスクが低いことを示している。非アルコール性脂肪肝は生活習慣病と関連の深い慢性肝疾患であり、その予防や治療に有効な食生活の解明が求められている。そこで、モデルマウスを用いて、β-クリプトキサンチンの非アルコール性脂肪肝炎改善効果を明らかにすると共に、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析により作用の特徴と作用機構を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 0.003%のβ-クリプトキサンチンを飼料に添加して、12週間摂取させることにより、マウスに高コレステロール・高脂肪食で誘導される非アルコール性脂肪肝炎の脂肪の蓄積及び線維化の症状が改善される(図1)。
  2. 肝臓組織の遺伝子発現を網羅型DNAマイクロアレイを用いて解析した結果、β-クリプトキサンチンは、肝臓の細胞死、免疫細胞の蓄積、浸潤、活性化、及び酸化ストレスに関わる遺伝子発現を抑制する(図2)。このことから、β-クリプトキサンチンは非アルコール性脂肪肝炎の酸化ストレスや肝障害を低下させ、炎症を起こすマクロファージやT細胞の増加を抑制すると考えられる(図2)。
  3. 脂肪肝や非アルコール性脂肪肝炎で発現誘導される遺伝子をより精度良く検出するため、カスタムDNAアレイを作成して、マウス肝臓の遺伝子発現を測定した結果、β-クリプトキサンチンは非アルコール性脂肪肝炎で誘導されるマクロファージやT細胞の遺伝子発現を抑制する(図3)。また、腫瘍壊死因子TNFαで誘導される炎症に関わる遺伝子発現を抑制する(図3)。こられのことから、モデルマウスにおいて、β-クリプトキサンチンは特に炎症を抑制して非アルコール性脂肪肝炎を改善する。
成果の活用面・留意点
  1. 非アルコール性脂肪肝炎モデルマウス、網羅型DNAマイクロアレイおよび脂肪肝炎評価用カスタムDNAアレイを用いる評価法は、非アルコール性脂肪肝炎の予防・改善に有効な農作物・食品成分の探索や解明に活用できる。
  2. 実験方法および結果は「ニュートリゲノミクス機能性データベース」(http://foodfunction.dc.affrc.go.jp)に収載しており、食品総合研究所のホームページから閲覧できる。
  3. ウンシュウミカンのβ-クリプトキサンチンの非アルコール性脂肪肝炎への有効性は検討中である。
図表1 237191-1.jpg
図表2 237191-2.jpg
図表3 237191-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2014/nfri14_s08.html
カテゴリ 温州みかん 機能性 データベース 抵抗性 評価法

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