土地、労働生産性ともに高いダイコン-サツマイモ畦連続使用有機栽培体系

タイトル 土地、労働生産性ともに高いダイコン-サツマイモ畦連続使用有機栽培体系
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2009~2014
研究担当者 新美 洋
房安功太郎
千田雅之
鈴木崇之
上杉謙太
岩堀英晶
立石 靖
石井孝典
安達克樹
発行年度 2014
要約 南九州地域を対象としたダイコン-サツマイモ畦連続使用有機栽培体系は、サツマイモ、ダイコンとも地域平均収量以上の生産量が得られる。本体系のサツマイモ作は単作の慣行より土地生産性が52%、労働生産性が19%高く、体系全体の労働生産性も高まる。
キーワード 有機栽培、畦連続使用、サツマイモ、労働生産性、焼酎廃液濃縮液
背景・ねらい 南九州地域では、普通畑の有機JAS圃場面積は約280ha(2013年)で全国の6%を占めるが、生産性や収益性が必ずしも高くないことから有機栽培面積の拡大には至っていない。その中で、九沖農研で開発されたダイコン-サツマイモ畦連続使用有機栽培体系(以降、畦連続体系)では、ダイコン、サツマイモとも有機栽培で慣行と同等の収量、品質が得られ、サツマイモの線虫害も抑制されることが示されている(2012、2013年度研究成果情報)。一方、南九州のサツマイモ作付面積は17,140ha(2013年)に及ぶが、そのほとんどは年1作の栽培となっている。そこで畦連続体系導入の畑作経営を対象に、年2作の畦連続体系を実践した場合の生産性、労働時間および収益性を慣行のサツマイモ単作と比較し、本体系導入の経済効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 畦連続体系は春ダイコン作付前の芋焼酎廃液濃縮液施用(2010年度研究成果情報)、春ダイコン不織布二重被覆栽培(2010年度研究成果情報)、春ダイコン作付後サツマイモ畦連続使用栽培の3要素技術より構成される。この組み合わせにより春ダイコン、サツマイモの年2作を無農薬、無化学肥料の有機栽培で毎年継続することができる(図1)。
  2. 実証経営における畦連続体系で栽培した春ダイコンの10aあたりの出荷量はいずれの年も地域の平均収量を上回る(表1)。サツマイモの収量は地域の平均収量を上回り、感受性品種においてもネコブセンチュウ害はほとんど認められない(表1)。
  3. 畦連続体系のサツマイモ作では、慣行サツマイモ単作と比較し、耕うん、施肥、畦立・消毒作業の省略により5.9時間/10aの作業労働時間を削減できるが、除草作業時間が15.6時間/10a増加すること等から、10aあたり総作業労働時間は12.1時間増加する(図2)。しかし、物財費(被覆資材費、動力費、肥料費、農薬費)の削減と、収量増加に伴う粗収益の増加により、土地生産性(10aあたり付加価値額)は慣行より52%向上し、労働生産性は19%向上する(表2)。さらに、春ダイコンはダイコンの端境期に出荷できるため高単価・高収益であり、春ダイコンを合わせた体系全体の土地生産性は慣行サツマイモ単作の6.9倍、労働生産性は1.4倍となる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:本成果は宮崎県都城市の家族経営(経営面積19ha、うち有機JAS認定圃場0.72ha)を対象とし、有機JAS認定圃場で得られた。適用においては有機農業者のほか、サツマイモ生産者全般を対象とする。
  2. 普及予定地域・面積等:南九州の黒ボク土畑作地帯。南九州の春ダイコン作付面積(404ha:2013年)は増加傾向にあることに加え、芋焼酎廃液濃縮液は南九州内6施設で製造されており、その利活用の方策として100ha程度の普及が期待される。
  3. その他:本体系は毎年継続可能であるが、導入前および数年おきに土壌診断を実施し、診断結果によっては苦土石灰の施用等、土壌改良が必要である。
図表1 237297-1.jpg
図表2 237297-2.jpg
図表3 237297-3.jpg
図表4 237297-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2014/14_046.html
カテゴリ 有機農業 有機栽培 肥料 病害虫 経営管理 栽培体系 出荷調整 除草 施肥 だいこん 土壌改良 土壌診断 農薬 品種

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