タイトル |
損傷デンプンが少なく膨らみの良い米粉パンが出来る水稲新品種「こなだもん」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2001~2014 |
研究担当者 |
佐藤宏之
坂井真
田村克徳
田村泰章
片岡知守
岡本正弘
梶亮太
溝淵律子
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発行年度 |
2014 |
要約 |
「こなだもん」は、タンパク質組成に変異のある米であり、暖地では「ヒノヒカリ」級の中生のうるち米品種である。米粉の損傷デンプンが少なくパンの膨らみが優れるため米粉パン用途に適する。
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キーワード |
イネ、米粉パン、損傷デンプン、タンパク質変異米
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背景・ねらい |
水田を有効活用し、食料自給率の向上を図るため、米粉用や飼料用など新たな利用に対応した新規需要米への取り組みが推進されている。近年、製粉技術の発達と共に、米粉に適した品種の特性が明らかになりつつある。そこで米粉パンに適した製粉特性を備え、暖地の普通期栽培に適した品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「こなだもん」(旧系統名:西海269号)は、暖地の中生熟期の良食味品種「ヒノヒカリ」を母とし、低グルテリン・26kDaグロブリン欠失米系統「放育5 号」を父とする交配組み合わせから育成された中生熟期の低グルテリン・26kDaグロブリン欠失米品種である(表1)。
- 湿式気流粉砕で製粉した米粉は粒径が小さく、「コシヒカリ」や「ヒノヒカリ」より損傷デンプンが少ない(表2)。
- グルテンを添加した米粉パン(米粉80%、グルテン20%)は、「コシヒカリ」より比容積がやや大きく良く膨らみ(表2)、腰折れが少なく外観が優れる(図1)。
- 「ヒノヒカリ」に比べ、出穂期・成熟期は2日遅く、九州北部の普通期では"中生の中"に属する。「ヒノヒカリ」より稈長は4cm短く、穂長・穂数は同程度である。草型は"中間型"である(表1)。
- 耐倒伏性は「ヒノヒカリ」並で、移植栽培での収量性は「ヒノヒカリ」と同程度である(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は"Pia"と推定され、いもち病圃場抵抗性は、葉いもち、穂いもちとも"中"である。縞葉枯病に"罹病性"であり、白葉枯病抵抗性は「ヒノヒカリ」より弱い"弱"である(表1)
- 玄米外観品質は腹白、心白が多く、「ヒノヒカリ」よりやや劣る"中上"である。白米のアミロース含有率及び玄米のタンパク質含有率は、「ヒノヒカリ」よりやや高い。グルテリン及び26kDaグロブリンの含有率は「ヒノヒカリ」より明らかに低い(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 米粉の粒径が小さく損傷デンプンが少ないため米粉パン用途に適する。
- 2014年度に兵庫県のJAが2ha試験栽培し、生協が「こなだもん」の米粉10%を含む米粉パンの販売を開始しており、次年度より順次生産拡大する予定。
- 適地は暖地及び温暖地の平坦部のヒノヒカリ栽培地帯である。白葉枯病に弱いので、常発地での栽培は避ける。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2014/karc14_s02.html
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カテゴリ |
いもち病
縞葉枯病
飼料用作物
新品種
水田
水稲
生産拡大
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
良食味
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