イモゾウムシ抵抗性サツマイモ系統のスクリーニング法と系統選抜

タイトル イモゾウムシ抵抗性サツマイモ系統のスクリーニング法と系統選抜
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2012~2014
研究担当者 岡田吉弘
境哲文
市瀬克也
吉田睦浩
発行年度 2014
要約 室内および圃場におけるイモゾウムシ抵抗性評価試験により、サツマイモ16系統は、抵抗性、感受性および極感受性の3群に分類される。また、各分類群から標準系統を選定することで、圃場において抵抗性系統を効率的に選抜できる。
キーワード イモゾウムシ、サツマイモ、抵抗性、虫害、被害低減
背景・ねらい イモゾウムシは、南西諸島のサツマイモ栽培における最重要病害虫であり、化学薬剤を用いた沖縄県推奨栽培法でも、被害塊根率はしばしば60%以上に達する。被害塊根は、毒性のあるイポメアマロンを生成するため、商品価値を完全に損なう。そこで、イモゾウムシの被害低減を目的に、室内および圃場における抵抗性スクリーニング法を検討する。さらに、圃場における効率的な選抜法を検討し、抵抗性系統を選抜する。
成果の内容・特徴
  1. 様々な塊根特性を有するサツマイモ16系統は、室内におけるイモゾウムシの食性・産卵選好性により3群に分類される。各分類群は、抵抗性群、感受性群および極感受性群と特徴づけられる。また、各分類群から、抵抗性標準「九州166号」、感受性標準「タマユタカ」および極感受性標準「シロユタカ」の3系統を標準系統として選定する(図1)。
  2. 標準系統を基準に、イモゾウムシ圃場放飼試験により上記のサツマイモ16系統を評価したところ、室内試験と同様の傾向を示す(図2)。
  3. 室内における食性・産卵選好性評価結果とイモゾウムシ圃場放飼評価結果との間には相関(r=0.504, P)が認められる(図3)。
  4. さらに、新たなサツマイモ10系統を用いて、標準系統を基準にイモゾウムシ圃場放飼試験を実施したところ、抵抗性標準と同程度もしくは、それ以上の抵抗性を示す系統を明らかにでき、本手法により効果的な選抜が可能となる(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 室内試験と圃場試験の間に相関が認められるが、実際の選抜には両手法での評価が望ましい。
  2. イモゾウムシ圃場放飼試験では、被害いも率および被害程度を評価することで、効率の良い抵抗性選抜が可能となる。
  3. また、実際の選抜には、被害の甚大な極感受性標準「シロユタカ」よりも被害が標準的な感受性標準「タマユタカ」を用いることで効果的な抵抗性選抜が可能となる。
  4. 今回、抵抗性として選抜された系統には、交配系統や変異系統および沖縄在来系統が含まれ、イモゾウムシ抵抗性素材としての利用が期待される。
図表1 237321-1.jpg
図表2 237321-2.jpg
図表3 237321-3.jpg
図表4 237321-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2014/karc14_s20.html
カテゴリ 害虫 抵抗性 薬剤

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