「ハイスターチ」のサツマイモネコブセンチュウ抵抗性遺伝子保持系統選抜用DNAマーカー

タイトル 「ハイスターチ」のサツマイモネコブセンチュウ抵抗性遺伝子保持系統選抜用DNAマーカー
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2006~2014
研究担当者 田淵宏朗
田中勝
甲斐由美
高畑康浩
中山博貴
発行年度 2014
要約 DNAマーカーE33およびE41は、「ハイスターチ」の後代において、サツマイモネコブセンチュウレースSP1およびSP2に対する抵抗性系統の推定と選抜に利用することができる。
キーワード サツマイモ、サツマイモネコブセンチュウ、抵抗性、ハイスターチ、DNA マーカー
背景・ねらい サツマイモネコブセンチュウ(以下センチュウと略)はサツマイモの根に寄生し収量や商品価値の低下をもたらす土壌生物であり、特定の品種への寄生性程度の差から9レース(SP1~SP9)が報告されている。センチュウの防除には土壌消毒が有効であるが、10aあたり9000円の農薬費用と多大な作業時間を要し、環境負荷を増加させる懸念もあるため、サツマイモにセンチュウ抵抗性を付与することは重要な育種目標の一つとなっている。しかし、抵抗性品種の交配後代全てが抵抗性を示すことは無く、接種による抵抗性検定にはおよそ4ヶ月以上の時間を要する。そこで、南九州地域での主要なレースSP1およびSP2に対する抵抗性品種「ハイスターチ」と感受性品種「コガネセンガン」のF1集団についてAFLP(amplified fragment length polymorphism)マーカーを用いた抵抗性遺伝子座の解析を行い、抵抗性の推定を迅速に行えるPCR用のDNAマーカーを開発する。また、作成したDNAマーカーの適用性の検証を、「ハイスターチ」の後代関連品種または系統を用いて行う。
成果の内容・特徴
  1. 「ハイスターチ」のSP1およびSP2への抵抗性は、それぞれ作用力の大きな単一の優性遺伝子に支配されている。これらの遺伝子は同一または極近傍に存在しており、その遺伝子領域に最も近いAFLPマーカーはE33M53_090およびE41M32_206である(図1)。
  2. E33M53_090およびE41M32_206をそれぞれPCRで利用しやすいDNAマーカーE33およびE41に改変し、反応確認用のActinマーカーと共にマルチプレックス(複数マーカーの同時反応)化することで、一反応のPCRで全マーカーの遺伝子型の確認が可能となる(表1、図2a)。
  3. 「ハイスターチ」の後代関連品種または系統のうち、E33およびE41の遺伝子型がいずれも「ハイスターチ」と一致する「コナセンリ」、「ダイチノユメ」、「九系236」、「コガネマサリ」、「こなみずき」はSP1およびSP2に対し抵抗性を示し、「ハイスターチ」に由来する抵抗性遺伝子が保持されていることが示唆される(図2b)。
  4. 以上のことから、「ハイスターチ」に由来する抵抗性遺伝子を保持する品種または系統の後代では、E33およびE41がいずれも「ハイスターチ」と同じ遺伝子型を示せば、SP1およびSP2に対して抵抗性を示すと推定でき、マルチプレックスPCR法により迅速簡易にSP1およびSP2抵抗性系統を選抜できる。
成果の活用面・留意点
  1. E33およびE41の遺伝子型が「ハイスターチ」型であっても、SP1およびSP2に感受性の系統が出現する可能性がある(図1a)。
  2. E33およびE41の遺伝子型の確認は、品種育成の初期段階(実生)で可能である。
図表1 237322-1.jpg
図表2 237322-2.jpg
図表3 237322-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2014/karc14_s21.html
カテゴリ 病害虫 育種 DNAマーカー 抵抗性 抵抗性遺伝子 抵抗性検定 抵抗性品種 土壌消毒 農薬 品種 防除

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