国内における農業機械の制御通信共通化のための基礎的な技術要件

タイトル 国内における農業機械の制御通信共通化のための基礎的な技術要件
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2011~2015
研究担当者 元林浩太
西脇健太郎
奥野林太郎
濱田安之
発行年度 2015
要約 CAN方式による農業機械の制御通信ネットワークにおいて、メーカー間の壁を越えて相互接続互換性を実現する基礎的な技術要件である。本技術要件を採用することにより、国際規格ISO 11783や国内規格AG-PORTに対応した制御通信が可能になる。
キーワード トラクタ、作業機、制御通信ネットワーク、ISO 11783、AG-PORT
背景・ねらい 農業機械の高度化が進むにつれて、トラクタと作業機を接続する際のメーカー間の壁を超えた制御通信の共通化が重要になっている。欧米では、CAN(Controller Area Network)を基礎とする国際規格ISO 11783の実装が、ISOBUSとして100馬力以上の大型機械を中心に普及している。我が国でも、国際標準から大きく外れることなく、比較的小型の機械にも適用可能な低コストな統一仕様が求められている。そこで、国際規格との整合性や通信技術の共通化、今後の国内標準規格の開発に必須となる基礎的な技術要件を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 本技術要件は、ISO 11783の各パートに関する詳細な調査とそれらの実施技術の開発を通して、小型・低コストな機械にも適用可能な日本型ISOBUS(通称AG-PORT)が具備すべき基礎的な仕様を検討したものである。検討の結果、既存の国際規格との最低限の互換性維持のためには、データリンク層要件とネットワーク管理要件を統一することの重要性が示され、それぞれを整理して解説とともにJIS規格化した(表1)。
  2. データリンク層の要件は、CANネットワークを利用するソフトウェアでの最も重要な決まり事である。これには、29ビットIDのCAN拡張データフレームを用いること、その際の通信メッセージの具体的なフォーマット、さらに通信メッセージの大まかな分類などが含まれる(表2、JIS B 9225-3)。
  3. ネットワーク管理の要件は、CANネットワークでの接続機器の識別に関する重要な決まり事である。これには、接続機器の機能(コントロールファンクション)に割り当てるアドレス、そのアドレスと実際の機器の関連づけ(NAME情報)や電源投入時のネットワーク初期化(アドレスクレーム)手順等が含まれる(表2、JIS B 9225-5)。
  4. 本技術要件と、別に定められた日本農業機械工業会規格(JAMMAS 0021)の2ピンの接続コネクタ規格(2012年普及成果)と組み合わせることにより、新しい国内向け業界規格であるAG-PORT仕様に準拠したネットワークを容易に構成できる(図1)。
  5. これらを利用することにより、ISOBUS対応の輸入機に頼ることなく、例えば車速情報に連動した肥料・農薬の均一散布や、作業機からトラクタ端末への情報の転送・表示など高度な機能がネットワークの接続により容易に実現できる。また、ISOBUSと同じISO 11783規格を基礎にしているため、ISOBUS対応機器との通信においても整合性が高い。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:ISOBUSやAG-PORT対応機器類を製造・使用・管理する技術者及び事業者等
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:当該要件を満たした農業機械の国内での普及台数が、トラクタ及び作業機の合計数で2015年度末までに3,000台以上。
  3. その他:本要件の詳細を記載した規格書(JIS B 9225-3及び5)が、日本規格協会からそれぞれ3~4000円程度で市販されている。
図表1 237364-1.jpg
図表2 237364-2.jpg
図表3 237364-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2015/15_053.html
カテゴリ 肥料 病害虫 低コスト 農薬

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