苦土石灰のうね内部分施用と低吸収性ダイズ品種による子実カドミウム濃度低減

タイトル 苦土石灰のうね内部分施用と低吸収性ダイズ品種による子実カドミウム濃度低減
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2011~2015
研究担当者 三浦憲蔵
戸上和樹
吉住佳与
工藤一晃
青木和彦
加藤邦彦
屋代幹雄
松尾健太郎
加藤信
発行年度 2015
要約 深さ20 cmまでの平均カドミウム濃度が1.4 mg kg-1と高い水田転換畑の場合、土壌pHが6.5に近づくように全面施用の苦土石灰量の50%をうね内に部分施用とし、低吸収性ダイズ品種・系統を用いれば、子実カドミウム濃度は普通品種と比べて4割程度低減する。
キーワード カドミウム、ダイズ、低吸収性品種、苦土石灰、うね内部分施用
背景・ねらい ダイズは子実カドミウム(Cd)濃度が高まりやすく、対策技術の確立が早急に求められている。これまで、0.1 mol L-1塩酸抽出による土壌の深さ20 cmまでの平均Cd濃度が1.1 mg kg-1の水田転換畑の場合、全面施用の4割程度(38%)の苦土石灰と化成肥料をうね中央部の幅20 cm・深さ20 cmの範囲に帯状に施用してダイズを播種すると、子実Cd濃度を全面施用と同等またはそれ以下に低減可能であることを明らかにしている。一方、ダイズには子実Cd濃度が高まりにくい低吸収性品種・系統が存在する。そこで、うね内部分施用と低吸収性品種・系統を組み合わせ、土壌中Cd濃度がより高い場合の子実Cd濃度低減のための実用的な技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. ダイズの子実Cd濃度低減のためには、トラクター用うね内部分施用機に播種機を取り付けて、うね中央部の播種位置付近の幅20 cm・深さ20 cmの範囲に苦土石灰と化成肥料を帯状に施用し、同時にダイズを播種する(図1)。播種後の栽培管理は通常どおり行う。
  2. 土壌の深さ20 cmまでの平均Cd濃度が1.4 mg kg-1の水田転換畑において、「リュウホウ」の子実Cd濃度は目標pH6.5まで土壌pHが高いほど低く、目標pHが6.5の場合、うね内部分施用における苦土石灰量を全面施用の50%(部分50)とすると、38%(部分38)と比べて土壌pHが高まり、子実Cd濃度は3割程度低くなる(表1、図2)。しかし、収量は目標pHや施用法の違いにより影響されることなく、全面施用での化成肥料の38%をうね内に部分施用とすると、全面施用と同等の収量が得られる。
  3. 目標pHや施用法が同じ条件の場合、「おおすず」の子実Cd濃度は「リュウホウ」と変わらないが、「きぬさやか」、「刈系841号」および「刈系842号」の子実Cd濃度は「リュウホウ」と比べて4割程度低い(図3)。
  4. 目標pHを6.5とし、全面施用の苦土石灰量の50%(化成肥料は4割程度)をうね内に部分施用し、できるだけ低吸収性の品種を選択することによって収量を低下させることなく、子実Cd濃度を最も低減できる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:水田転換畑におけるダイズ生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:東北の水田転換畑のうち、ダイズの子実Cd濃度が高まりやすい地域
  3. その他:日本のダイズ品種のうち、東北の主力品種である「リュウホウ」と「おおすず」の子実Cd濃度は比較的低いことが報告されている。うね内部分施用機は、小規模から大規模まで経営面積に応じた2~4条用が市販されている。苦土石灰および化成肥料のうね内部分施用により全面施用と比べて施用量をそれぞれ5割および6割削減でき、10a当たり資材費は年間約1万円低減となるため、3条用の施用機の場合、3~4haに導入すれば、4~5年間で施用機の費用を回収できる。
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研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2015/15_063.html
カテゴリ 肥料 経営管理 栽培技術 水田 大豆 播種 品種

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