タイトル |
流通未認可の遺伝子組換え作物を幅広く検出するリアルタイムPCRアレイ法 |
担当機関 |
(国)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 |
研究期間 |
2011~2015 |
研究担当者 |
真野潤一
高畠令王奈
橘田和美
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発行年度 |
2015 |
要約 |
開発したリアルタイムPCRアレイ法は、使用や流通が認められていない組換え農産物を幅広く検出することができる。さらに、必要に応じて標的配列の追加や削除が自由にできるため、検査法の更新が容易であり、検査対象系統の増加にも対応できる。
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キーワード |
遺伝子組換え、検知、網羅的、リアルタイムPCR、通知検査
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背景・ねらい |
我が国では、行政による安全性審査で承認を受けた遺伝子組換え作物についてのみ、一般の作物と同様の流通・利用が認められている。しかし、安全性が未審査の組換え農産物やその種子が海外から輸入され、誤って流通する事例が報告されている。そこで、安全性未審査の組換え農産物も含めて遺伝子組換え作物を幅広く検知する分析法を開発する。特に、遺伝子組換え作物の種類は年々増加しており、検出すべき組換えDNA配列の種類は今後も増加することが予想される。このため、検査法の更新が容易なリアルタイムPCRアレイ法の開発を行う。
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成果の内容・特徴 |
- リアルタイムPCRは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)でDNAが増幅する様子をリアルタイムに蛍光検出する手法で、食品検査にも近年、利用が進んでいる。リアルタイムPCRアレイ法は、多種類のリアルタイムPCRを1つのプラスチックプレート上で同時に実施する方法である(図1)。開発した方法は、プロモーターやターミネーター、除草剤耐性遺伝子など、多くの組換え作物に共通して導入されているDNA配列を一斉に検出することで、未承認の系統を含め組換え作物を網羅的に検出することができる(図2)。また、必要に応じて標的配列の追加や削除が自由にできるため、検査法の更新が容易であり、検査対象系統の増加にも対応しやすい。
- 様々な遺伝子組換え作物を試料とした個別のリアルタイムPCRの反応特異性は表1の通りであり、いずれも公定検査に十分使用可能な性能があることが確認されている。
- さらに本分析法は、導入遺伝子の情報から、近年、国内外で流通が報告されているほぼ全ての安全性未審査組換え作物の検出も可能と推測される。
- 安全性未審査の遺伝子組換え作物の流通事案は突如発生し、作物の栽培中止や輸入停止、食品への混入発覚時には店頭からの自主回収など、経済や社会の混乱に繋がる恐れがある。本分析法を用いて農産物、種苗などの検査を幅広く実施することで、安全性未審査の遺伝子組換え作物の国内への流入および国内での流通を未然に防止できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:公的検査機関、種苗メーカー等
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国の植物防疫所
- その他:本分析法は、2014年度に農林水産省によるワタ未承認系統流通の確認に利用され、2015年度より農林水産省が定める通知検査法として、植物防疫所における未承認組換えワタのモニタリング検査に利用されている。トウモロコシ、ダイズなどの安全性審査済みの遺伝子組換え系統の検査法としても利用可能で、食品表示制度の科学的検証の目的でも活用が予定されている。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2015/15_065.html
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カテゴリ |
病害虫
除草剤
大豆
とうもろこし
モニタリング
わた
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